普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【その他】一法務担当者が7年間で1000冊の本を読んでみた

 7年ほど前、ふと思い立って、読書メーターなるもので読んだ本を「すべて」記録していくことにした。先月、とうとう、7年間で読んだ本の数が1000冊に到達した。

 

読書メーターより

 

 一応、950冊くらいからは、「もうすぐ1000冊だな…」と自分の中で意識していたのだけども、いざ1000冊読んでみると謎の達成感と自信が生まれたことに気付いた。折角なので、この謎の心境を後からでも振り返れるように、1000冊読むに至った経緯と自分の中での変化をいろいろと書き残しておきたい。

 

1.読書メーターで記録するに至った経緯

 そもそも読書メーターとは、現在は株式会社ブックウォーカーによって運営されているサービスで、読んだ本、読んでる本、積読本などを管理でき、読んだ本については255文字という制約の中でレビューもできるようになっているサービスである*1。また、当然ではあるけども、他の人の読んだ本のレビューも見ることができるし、何なら、お気に入り・お気に入られという形でいろいろと交流もできるコミュニティサイトとなっている。

 記録によると、私は、2015年10月16日に開始したようで、ちょうどこの時期は仕事面でかなりいろいろとメンタルがやられており、今から振り返ると、いろいろと転機の一つともなった時期であったように思う。そんな時に、知人が読書メーターで読んだ本を記録していると言っていたので、私もやってみようかなと思い、記録を始めたように記憶している。

 一応、それまでも本自体は読むことはあったけども、読んでる本の幅が広いかと言われれば結構偏っていたように思うし*2、読んだ本の感想を言葉して他人に伝えるといったことは全く考えておらず、むしろ感想を他人に伝えるというのが非常に苦手であった*3

 こういった前提状況の中で、読んだ本を記録して感想を書くということを続けてみようとなった。

 

2.自分の中の変化の過程

 まず、初期の頃は、255文字での感想を書くのが非常につらかった。言葉が出てこない。というか、感想って何?みたいな感じだった。よくよく思い返してみると、小学校の頃とかも読書感想文を書くというのは非常に苦痛だったし、それ以降も感想を書くということをした記憶もない。なので、最初は義務感だけで書いていたし、何書けば良いかわからなかった。

*初期の感想

 

 で、2年くらい続けていると、結構書けるようにはなってきたことに気づいた。意外と自分で読んでみても「それっぽいことは書けるようになってきたなぁ…」と思っていたし、他人にどういう本を読んでいるかについては話をできるようにはなってきたように思う。加えて、他の人の読んでる本の感想も見ながら、自分の中での読書体験の幅が広がってきたのもこのくらいの時期だと思う。例えば、読んだことない小説とかにも手を出してみようかと思えるようになった感じ。

*2年くらい続けた感想

 

 このまま4年くらい続けてみると、折角なので、読書メーターの255文字という制約を取っ払って、ブログで読んだ本の感想とか諸々を書いてみようかと思い立つようになる。それでこのブログを立ち上げたわけだが、255文字という制約を取っ払った後の世界は厳しかった。要するに、何をどういう切り口で書いたら良いのかがわからない。255文字だと内容のまとめの延長みたいな感じで書けるのだけども、その制約がないと、内容のまとめの延長とは違った切り口で書かないと、まぁ書くことがない。

 今から振り返ると、この頃が自分の中での考え方の大きな変化が生じたように思う。それまでは、地に足ついてるのかついてないのかよくわからない客観的な視座からの評論的な感想が多かったのだけども、視点を「自分」に持ってこようと思い立った。要するに、自分の立場から見た〇〇について言語化するというのを強く意識するようになった。そんな感じで、読書とは少し離れるが、「一法務担当者」という視座でいろいろと言語化するようになった。

*自分の視点という視座を強く意識するようになった辺り

chikuwa-houmu.hatenablog.com

 

 こんな感じで、それから3年くらい、コツコツと、「自分の立場から見た〇〇」というのを強く意識しながら本の感想についても書き連ねてきた。こんな感じでやってくると、「本を読んだ際に自分の中で生じた感情や考えをどう言語化して表現するか」という点に強く意識がいくようになったし、それに伴い、文章を書くということは苦にならなくなった。それが今。

*最近の感想

 

3.1000冊読んで変わったこと

 じゃあ、実際に1000冊読んでみて何か変わったのかというところに焦点を当てると、いろいろと変わったと思う。

 具体的に言えば、自分の感情や考えを言語化することが苦にならなくなったし、むしろ得意になったように思う。それを超えて、他人の話を聴くということも以前よりはマシになったように思う。

 もともと、他人とコミュニケーションをとるのが苦手だったし、特に多くの人がいるところや初対面の人が相手だと何をしゃべって良いのかもわからず、言葉が出てこないということが多々あった。それによっていろいろと苦労したこともある。でも、今では、相変わらず他人とのコミュニケーションはそれほど得意ではないけども、少なくとも、自分の感情や考えを言葉にして伝えるということは苦ではなくなった。この点だけは自信を持って言える。

 まぁ、まだまだ知らないことも多々あるし、想像できないことも同じように多々あるのだけども、多少はマシになっただろうということで、1000冊読んだ効果はあったのかなと思う。なかったら逆にしんどい。

 そんなこんなで、今後も本を読み、そして、その感想を言葉にしていくことで、また違った世界が見えるのだろうと思い、これからもコツコツと続けていく。

 

以上

*1:無料です。

*2:批評系の新書に偏っていた。

*3:初期の感想を今から読み直すと言葉に全然できていないことに気付く。