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【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2019年11月号 感想

BUSINESS LAW JOURNAL 2019年11月号の備忘録です。

Business Law Journal 2019年 11 月号 [雑誌]

Business Law Journal 2019年 11 月号 [雑誌]

 

 1.INSIGHT 実践的な経営者目線とは(松尾直彦・前掲11頁)

・本記事においては、企業の法務部門が「経営法務」機能を発揮するために何が必要かという切り口から、筆者の意見が記載されております。

・実際、筆者は、本記事にて、

ジェネラル・カウンセル(GC)やチーフ・リーガルオフィサー(CLO)の設置などにより、法務部門長が経営層の一翼を担うことも重要であろうが、何よりも法務関係者が「経営者目線」で思考・行動することが求められよう。(前掲・11頁)

と述べているところです。

 その上で、筆者が強調する「経営者目線」というものは、以下の7つにまとめられるようです。

  ① 自社の「経営理念」を意識すること。

  ② 「経営戦略」及び「ビジネスモデル」を意識すること。

  ③ 経営成績や株価といった「数字」を意識すること。

  ④ 「顧客」*1の「最善の利益」を意識すること。

  ⑤ 経営判断の実体的判断内容及びそのプロセスの適切性を意識すること

  ⑥ 広い視野を持ち国内・国際情勢を意識すること。

  ⑦ 「人」の「心理」を意識すること。

・筆者の指摘する上記の7つの要素というのは、至極当然のことであり、法務部門が意識する必要のあるものだとは考えられます。では、これを前提に、一法務担当者として、何ができるのかを考えてみたいと思います。

・この7つの要素のうち、一法務担当者として気になる要素は、②「経営戦略」及び「ビジネスモデル」を意識することというものです。例えば、契約審査においても、ビジネスモデルを意識する必要がある、ヒトモノカネの流れを意識する必要があるとは、多くの書籍やセミナーにおいても耳にし、私もそれを聞いては「ふむふむ」「なるほど」と、都度、思っているのですが、では、一法務担当者は、本当に、ヒアリングで仕入れた「ビジネスモデル」に関する情報を自身のアウトプットに繋げることができているのでしょうか。自分自身の職務を振り返ると、正直、怪しいものがあります。

・そこで、改めて、契約審査の際に「ビジネスモデル」を考えることの意味を整理してみます。

 まず、大事になってくるのは、①当該取引に利害関係者を整理することだと思います。いわゆる商流関係の整理、社内外でのヒトモノカネの動きの整理になるかと思います。その上で、このことからどういうアウトプットができるかというと、当該利害関係者との間で生じうる法的リスクを分析することになるかと。そして、そのリスクを契約又は運用面で対処していく。

 次に、深めるとすれば、②当該ビジネスモデルに内在する固有のリスクを整理することだと思います。おそらく、このレベルが難しくかつ腕の見せ所になるかと。例えば、商社や金融ビジネスのようなリスクを付加価値に変えるモデル、メーカーのようなモノを付加価値に変えるモデルでは、アプローチは変わってくると思います。さらに、メーカーモデルだとしても、製造工程のリソースが少ない事業であれば納期遅延リスクが重要なリスクになるでしょうし、汎用品を大量売買する事業であれば一品一様型の事業より機械的なシステム依存のリスク対応策が馴染みやすい等もありうるかと思います。

・と、少し考えてみましたが、一法務担当者の立場でも「ビジネスモデル」を理解することの意義は常に問い続ける必要があるのではないでしょうか。

2.今求められる社内規定の見直しポイント 違法な協調行動・贈収賄の防止(川島佑介・前掲28頁)

・本号の特集は、「社内規定」の見直しというものでした。「社内規定」は法務業務とは切っても切れないものですね。

・その中で、本記事は、違法な協調行動と贈収賄に関する規定に焦点を当てております。

・本記事で述べている規定のポイントは、

 違法な協調行動・贈収賄に関するコンプライアンスの実効性を確保するためには、具体的な事案や場面を想起しながら、いかに平易かつ理解しやすいマニュアルを作成するかが重要なポイントとなる。(前掲28頁)

というものに尽きるかと思います。

 その上で、違法な協調行動というものに絞ると、

 ① 違法な協調行動に巻き込まれそうになった場合の対応

 ② 競争事業者との接触に関する事前申請・事後報告に関する制度

 ③ 社内文書作成時の留意点

 ④ 法改正に伴う見直し

辺りが、重要なポイントとなってくるようです。

・さて、このようなまとめの上で、一法務担当者として何ができるでしょうか。

 一法務担当者として、考えるべき重要な視点としては、違法な協調行動であれば、どういう心理状態の場合に違法な協調行動が発生しやすいのか、を考えることが一つ重要かと思います。

 例えば、市場のライフサイクルにおける成熟期や衰退期の局面であれば、どういった事業戦略がとられることが多いか。コスト削減のために、他社とのリソース共同化、OEM戦略の実施、事業提携の実施等の場面は生じないか。そういった戦略をとる場合ととらない場合で、どういう心理状況が起きるか。等々、心理面を切り口にいろいろと考えることができる気がします。

 また、この切り口から、リスク管理の濃淡化、研修内容を考えていくと、いろいろ考えることが出てくるかもしれません。

 いずれにせよ、ビジネスの局面の把握とその意義を問い続けることは大事な気がします。

・単に、文字通り「規定」を策定するだけではなく、もう一つ付加価値を付けられれば良いと思いつつ、日々試行錯誤ですね・・・。

 

以上、本号も勉強になりました!

*1:ここでいう「顧客」とは、「事業部門」というよりは、会社にとっての「顧客」を意味する(前掲・11頁)。

【法務】法務の目標設定について一担当者なりに考えてみた

BUSINESS LAWYERSさんのサイトを見ていたところ、「法務パーソンの目標設定」という名の連載企画が掲載されておりました。

business.bengo4.com

試みに、「一法務担当者の立場から」法務の目標設定というものを考えてみたいと思います。

 

● 法務の目標設定がなぜ難しいと言われるのか

・当該連載において、法務の目標設定に見られる課題として、次の3点があげられています*1

  • 定量的な目標(実行した業務や契約書のレビュー数など)について適切な目標数値の設定ができるか
  • 定性的な目標(業務や契約書のレビュー品質や他部門からの評判など)についてどのように評価ができるか
  • 組織として行うべき目標ついてのどのように目標設定すべきか(訴訟対応、M&Aなどの突発案件への対応、法改正対応、株主総会対応、コンプライアンス対応など)
  • ・それぞれの要素に関し、もう少し詳しく見ていくと、定量的な目標に関しては、法務の仕事は定量的な評価に馴染まない*2、契約書の処理件数や相談対応件数で評価することは業務評価の正当性がない*3、といった指摘があります。おそらく、売上で数値を図ることが可能な営業部門との比較から出てくる指摘かと思います。
  • 定性的な目標に関しては、おそらく、評価の基軸の設定が難しい、評価に恣意的なものが混在しやすい、誰の視点から見て評価するものなのかがわかりにくい、といったものになるのでしょうか。
  • 組織としての目標に関しては、法務部門そのものの組織としてのミッションや目標が明確に定まっていない*4、といったものが大きいように思います。

● 記事内で指摘される解決の方向性

・以上のような法務部門の目標設定における課題に対し、片岡玄一氏は、目標設定の意義をしっかりと考える必要がある旨を指摘されています*5

・同氏は、目標設定を行う目的として、次の3つがあると指摘します。

 ① 被評価者の成長支援

 ② 被評価者の給与決定

 ③ 組織目標の達成

・その上で、

目標設定に難しさを感じたときは、その原因がこの3つの目的のうち、どれに関連するのかを考えることで、解決の糸口を見つけやすくなります。*6

と言います。詳しくは、上記のサイトを見ていただくとして、先に見た課題に関しても、このような目的との関係で考えていくことを強調しており、時には、ある種の割り切りも必要ではないかとしてきしているところです。

・この点に関して、一法務担当者としても、当該指摘には頷けるものがあります。やはり、目標設定を行うのは法務担当者自身であり、当該担当者が主体性を持つことが何よりも重要だと思いますが、その前提として、目標設定が何のために行われるのか、といった意義をしっかり理解する必要があるかと思います。実際、自分自身が目標設定をする際に、その意義に関し、ここまできっちり言語化できていたかというと、非常に怪しいものがあり、次回以降の改善に繋げる必要はあるかと感じました。

・そして、最も大事な視点として、

被評価者から信頼されていない限り、評価者の声は、どんなに工夫をしてもまったく響かない。*7

ということを挙げられており、極めて当たり前ではあるのですが、意外に忘れがちな視点であることには間違いないと思います。

 

● 一法務担当者としては何ができるか

・さて、以上のような状況を見た上で、一法務担当者としては「法務の目標設定」という課題に対しどのように関わっていけば良いか、自分なりに考えてみます。

・一法務担当者として、最も意識すべきことは、自分自身にコントロールできるものは何なのか、という視点を持つことだと思います。

・よくある一法務担当者の代表的な業務目標としては、●●件の契約審査を行う、●●件の相談対応を行うといったものかと思います。しかし、よく考えてみると、契約審査や相談というものは本質的には受動的な要素が多分にあり、これらを主たる目標として掲げてしまうと、中々、モチベーションが上がらなくなってしまう気がします。

 それならば、むしろ、自分自身がコントロールできるものは何なのか、という視点から、プロセスに対する目標を掲げることも検討しても良いと思います。例えば、契約審査といったものを考えてみるだけでも、契約審査の対応件数を増やす契約審査におけるレスポンスの速度を上げる⇒自身用の契約審査条項集を作成する、といったように、より主体的に取り組める業務レベルにまでブレイクダウンすることができるかと思います。さらに、ここから発展させるならば、⇒条項集を部門内で共有する体制を整備するといったこともできるでしょうし、また、⇒条項集を用いて事業部門内での自立的な契約条項判断マニュアルなどを作成するといったこともできるように思います。

・また、日々の受動的な職務に対する目標設定の角度を変えることの意義としては、空いたリソースで主体的な業務目標を達成するといった目標の掲げ方もできるようになってくると思います。例えば、事業部門に対する●●なリスク管理システムの改善活動を行う(ヒアリングの実施、規定の整備、教育活動の実施等)、法務部門内における課題の解決(新規ビジネスへの対応するための勉強会の開催、マニュアル類の整備等)といった、一法務担当者自身で課題を設定し、それに向けた解決策の企画・立案・遂行とった目標の掲げ方も出てくるのではないでしょうか。

・さらには、一般的には自己啓発的な目標とされるセミナーの受講についても、セミナーを●●件受講⇒その知見の情報共有体制の検討、といっただけでも一つの目標になるかと思います。

・あとは、定性的な面からの納得感という課題もあるかもしれませんが、ここの課題解決策としては、上記で片岡氏も述べるように、評価者との信頼関係といったものに尽きる気がします。自分自身でコントロールできる範囲としては、そのような定性的な側面に対する意識的な言語化効果的なコミュニケーション方法の試行錯誤しかないのかなぁというのが正直な感想です。

・と、ここまでつらつらと考えてきましたが、自分自身にコントロールできるものは何か、という視点から考えると、まだまだ一担当者レベルでも「目標設定」という場面では工夫の余地があると考える次第です。

 

日々試行錯誤中ですが、ざっと考えてみたところを言語化するとこのような感じです。あくまで、一法務担当者の考えとして。

*1:南和気,第1回 人事エキスパートが推奨 組織と個人の力を引き出す法務部門の目標設定,https://business.bengo4.com/articles/617

*2:第3回 法務の目標設定と減点主義のジレンマ ~メーカー勤務・Aさんの場合,https://business.bengo4.com/articles/640

*3:第4回 一人法務の目標設定にみる現実と理想 ~メーカー課長・Bさんの場合,https://business.bengo4.com/articles/641

*4:前掲・南

*5:片岡玄一,第5回 法務の目標設定が「うまく回らない」と感じたときに行うべきこと,https://business.bengo4.com/articles/642

*6:前掲・片岡

*7:前掲・片岡

【法務】ビジネス法務 2019年11月号 感想

ビジネス法務2019年11月号を読みましたので、備忘録です。

ビジネス法務 2019年 11 月号 [雑誌]

ビジネス法務 2019年 11 月号 [雑誌]

 

 1.全社連携を実現するには? 債権保全・回収業務の基本と法務担当者の心構え(大川治・前掲54頁)

・本号の特集の1つは、債権保全・債権回収の対応というものでした。

・本記事はそのための総論部分という位置づけで、その他3つの記事においては企業内の実務担当者の声も記載されており、非常に興味深いものになっていました。

・さて、債権保全・回収業務を考える上での重要な視点としては、

仮に売掛金1,000万円が焦げ付いて、一切回収できなかったとしよう。この1,000万円の焦付きを取り戻すには利益を上げるしかない。利益率10パーセントの取引で1,000万円のロスを取り戻すには、1億円の売上が必要となる。 (前掲54頁)

という点だと考えます。

 主として法務業務に従事している者の場合、ある債権が回収不能になってしまった際、当該債権が回収できなくなることの経営的な意味をどこまで認識できているでしょうか。単に、●●円の債権が回収できなくなってしまったという認識になっていないでしょうか。

 やはり、債権保全・回収業務を考える上では、当該債権が回収できなくなることでどれくらいの利益が無くなってしまうのか、新たにどの程度の売上が必要となり、そのためにはどのような営業コストが必要となるのか、まで頭に入れておく必要があると思います。債権保全・回収においてはこれこそがスタートであり、また、事業部教育の際にも必ず伝えるべきことかと思います。

・また、債権回収・保全を考える際の思考フレームとしては、

取引先の信用状態にはステージがある。また、取引先と締結する個々の契約にも、同じようにステージ、段階がある。このステージ、段階ごとに、債権保全・回収の観点で何をどうすればいいかを考えると、物事が整理される。(前掲56頁)

という「時系列」の意識が重要かと思われます。 

 

 では、この「時系列」ごとのリスク管理を法務担当部署のみが担うかというと、そうではなくて、事前の備えに対応する段階ですと、

 取引先と一番近くにいて、情報をたくさん持っているのは、営業担当者である。営業担当部門は、売上だけでなく、きちんと回収できるかについても当然責任を持たなければならない。取引開始の可否を審査する信用調査において、営業担当者と法務・審査担当者の連携は重要である。(前掲56頁)

また、信用不安時・緊急時の段階ですと、

取引先の異変情報を入手してくるのは、日頃から接点のある営業部門であることが多いだろう。この情報の分析・検討を営業部門だけにゆだねてはならない。法務・審査担当者も情報を共有してもらい、情勢を分析する必要がある。状況によって、法務・審査担当者が直接アプローチする必要も出てくる。(前掲57頁)

とあるように、債権保全・回収に関わる部署の連携が大事になってくると思います。

・以上のような本記事において指摘されている事項を前提に、一法務担当者として何ができるのかを考えてみたいと思います。

 法務担当者として債権保全・回収に対する付加価値をもたらすことのできる場面としては、①教育、②取引スキームの策定時、③取引中、④緊急時の4つが主なものになろうかと思います。ここでは、「予防」の主たる場面である①②の2つに絞って記載したいと思います。

 まず、①教育の場面に関しては、上記でも指摘のように、当該債権が回収できなくなることでどれくらいの利益が無くなってしまうのか、新たにどの程度の売上が必要となり、そのためにはどのような営業コストが必要となるのか、ということを事業部門にしっかりと伝えることを意識する必要があると思います。これは、リスク認識のスタートであるため当然だと思います。

 次に、②取引スキームの策定時に関しては、債権保全の基本的な「幹」となるものととしては、定量面及び定性面からの取引先の調査(=リスクの分析)⇒代金支払条件及び契約条項の設定(=リスクヘッジ策の策定)となるかと思います。リスクの分析においては、審査担当部署と情報共有の上、法務担当部署もしっかりと債権回収リスクの程度を認識すべきでしょうし、また、契約条項の設定にあたっては、債権回収策のキーとなる期限の利益喪失条項のトリガー事由、及び債権回収が功を奏しない場合の物の引き上げに関する条項(解除及び所有権留保)が適切なものになっているかをケースバイケースで考える必要があるかと思います。特に、リードタイムが長い製品になってくると仕掛りリスクも発生するでしょうから、より慎重な対応が必要になると思います。

・単なる「物品の売買契約」だとしても、取引先の経営リスク、取引の利益率、リードタイムの長さ等で、債権回収リスクの程度は変わってきますので、社内のどの関係部門のどの人と情報を共有する必要があるのか、ヒアリングする必要があるのか、仕入れた情報はどのように整理していけばよいのかなど、検討することはたくさんあるかと思います。その上で、社内の仕組み上不要な点がある、又は必要な点がカバーされていないと考えるならば、新たな債権回収リスク管理の仕組みを提案する必要もあるかと思います。「物品の売買契約」のレビューが単なるルーティンになっていないかは、自問自答する必要があると思います。

2.先輩・後輩で描く企業法務のグランドデザイン 第4回企業法務とコンプライアンス(須崎將人・中山剛志・宮下和昌・前掲74頁)

・企業法務というものを現代的なものへと再構築するという視点から数回にわたって続けられている連載です。今回は、企業法務とコンプライアンスというものをテーマにいろいろなことが論じられています。

・まず、コンプライアンス「体制づくり」という視点に関して、

グローバル基準のコンプライアンス規定類の作成を海外の弁護士事務所等に依頼すると、パターン化されたものが簡単に用意されてくる。しかし、それらを単にコピーしても日本の企業にとっては実効性に乏しいものになる可能性がある。したがって、具体的にかつ個別に検討する必要がある。(前掲76頁)

との指摘があります。

 コンプライアンス体制づくりという点に関する「法務部門の立ち位置」というのは、中々、難しいものがあると考えます。一法務担当者の視点からすると、自身の業務を遂行する上で、規定整備という切り口からアプローチするか規定整備の前段階である事業部門のオペレーション構築支援という切り口からアプローチするかというのは悩ましく感じています。 個人的には後者のオペレーション構築支援という切り口の方が望ましいとは感じていますが、実際にはリソースの不足もありますので、中々、すべてのリスクに対しては実施できないというのが現実的なところです。そうだとすれば、リスクが高い部分に関してはオペレーション構築支援を積極的に行い、リスクが低い部分に関しては規定策定を利用した監査の場面でのコミュニケーション等でのリスク対応及びPDCAでの改善活動というのもありかもしれないと考える次第です。ここは難しいところです。

・また、「持続性」という視点では、

いったん決めた枠や制限に関しても、法の運用次第で、許容範囲が変わる可能性があるので、見直す必要もある。(前掲77頁)

 というのは、極めて重要な指摘かと思います。

 グローバルなコンプライアンス環境というのを見渡していると、米中の貿易戦争等、極めて「不確実性」というものが高くなってきているかと思います。これは、一法務担当者の業務においても例外ではなくて、これまでのような「規定」を策定し、「教育」し、「運用」してもらうというコンプライアンス活動が通用しなくなってきているのではないかということです。どうしても「規定」ベースのアプローチは、一旦定まった規制が持続するというある種の「確実性」が前提になっていると考えられ、その前提条件が変わってしまった場合には、別のアプローチが必要になるのではということです。

 個人的には、コンプライアンス活動の軸足をこれまでの予防的なアプローチだけではなく、「監査(モニタリング)」というものをより重要視する(=監査部門との連携を強める)リスクが顕在化した際の被害が拡大しないためのマニュアルを策定するなど、一法務担当者の職務も変わっていく必要があるのではないかと考えます。

 

今月号も盛りだくさんで勉強になりました!

【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2019年10月号 感想

BUSINESS LAW JOURNAL 2019年10月号を読みましたので、備忘録を書いておきます。

Business Law Journal 2019年 10 月号 [雑誌]

Business Law Journal 2019年 10 月号 [雑誌]

 

 

1.法務部門CLOSE UP 味の素 法務部(前掲14頁)

 ・毎号特集が組まれている法務部門のCLOSE UP記事です。今月号は、日本を代表する大企業である味の素さんの法務部門が特集されております。

・従業員数(連結)3万4504人、グループ会社数144社(いずれも2019年3月末時点)に対して、法務部門の部員数は19人となっています。この数が多いのか少ないのかは、自分としてはよくわからないです。

・業務内容は、契約審査5割、プロジェクト関係3割、ガバナンス関係のサポート1割、食品表示や臨床研究の定期的な法的助言1割となっています。いわゆるコンプライアンス業務が見当たらないところをみるに、法務部門以外で担っているということなのでしょうか。

・本記事において着眼した点としては、

今の法務部には、法科大学院修了者や弁護士資格の保持者もいれば、社内公募制度を利用して営業部門から異動してきた者のように、法律のバックグラウンドを持たない部員もいます。(前掲15頁)

 という点です。

 法務部門の人員構成をどのようなものにするかというのは悩ましい問題の一つであり、例えば、有資格者を含めたいわゆる法務純粋培養の者のみで構成する方法もあれば、営業部門からの異動者や新卒から法務部門にいる者等の多様な人材で構成する方法もあるかと思います。

 私自身はペーペーですので、いかなる組織が良いかを語る実力も経験も有していないので、この点については一旦留保します。

・それよりも、多様な人材がいることで私が日々感じているメリットを述べたいと思います。

 まず、契約審査を例にとると、モノの売買に関する契約であれば、

 ①QCDを確保する(QCDにおいて余計なコストがかからないか)

 ②その他の法的リスクが生じないか

 ③法的解釈の疑義が残る表現はないか

 ④てにをはに問題はないか

 ⑤証明責任(証明責任で優位性が取れないならば証拠の偏在をカバーできる条項)

 といったあたりを審査することになるのではないかと思います。ほんとはもっと類型化できるのだと思いますが、現時点での私ではこれが限界です。

 この中で肝になる項目としては、私自身としては、①であることが多いのではないかと思います。この①というのは、当該案件においてQCDのどの要素を差別化要素としたかということと密接に関係してくるかと思います。そして、この要素の仮説を立てること、ヒアリングにてうまく聞き出すこと、QCD関連の条項を創造すること等においては、営業部門からの異動者の経験値が生きてくる場面になるのではないかと思います。法務純粋培養者が見えないものを見えている人が部門内にいるというのは非常に心強いというのが私の感じるところです。やはり、それぞれの強みを活かした職務遂行が大事ということですね!!

・また他に気になった点としては、

会社の枠を超えて、北米地域のインハウスローヤーをマネージするバーチャル組織を作り、トップに北米ジェネラル・カウンセルを配置して、リソースを効率的に活用できる仕組みにしました。 (前掲17頁)

です。この「バーチャル組織」てのはどういうものなのでしょうか。うーん、また考えないとダメですね・・・。

 

2.【特集】法務が知っておくべき広告・キャンペーンの最新実務 審査フローの整備によるリスクマネジメントの効率化(野崎雅人・井上安見・平池明日香、前掲59頁)

・私自身は、広告審査というのをほとんど経験値がなく、広告審査という切り口からの実務的な問題意識が醸成されていないため、本特集は新しい知識を得るという視点から興味深く読ませていただきました。

・本記事は、グリー株式会社の実務的な視点を語ったものになります。

・本記事で気になった点としては、広告の内容の審査の観点で、

これらを網羅する審査基準やガイドラインを用意しています。ガイドライン等では判断しきれなかったものが法務に回ってくるという流れです(前掲60頁)

 という点です。

 リスクマネジメントの仕組みを作る際には、①中央集権的に法務部門が全案件に関与していくパターン②事業部門側にある程度の自治権を認めるパターンの2つがありうるかと思います。本仕組みのようなガイドライン整備方式というのは、この②にあたるものなのでしょう。もし②の方式をとるとすれば、法務部門の役割は個別審査というレベルから抽象度を一つ上げて、ルール自体の適法性を監督する事後的なモニタリングに軸足を置くという形へと変化していくことになるかと思います。

 これ自体も具体的な仕組みをどう構築するかは、ケースバイケースだと思いますし、本記事においても、

どのレベルの審査基準やガイドラインを整備するかは、各社の組織体制や現場の担当者の経験値等によっても異なるでしょう(前掲60頁)

とあるところです。ここから読み取れることとすれば、では現場の担当者の経験値=リスク感覚の成熟度はどのように測るのかという課題ですね。この対処法は、未だ自分自身の中でも試行錯誤中なので、日々鍛錬していきたいと思います!

 

本号も勉強になりました!

 

【法務】ビジネス法務2019年10月号 感想

ビジネス法務2019年10月号を読んだので、備忘録です。

ビジネス法務 2019年 10 月号 [雑誌]

ビジネス法務 2019年 10 月号 [雑誌]

 

 

1.時間・人員の不足を戦略的に克服する 契約業務プロセスの構築齊藤友紀・前掲24頁)

・本号の大きな特集の一つが「一人法務」の心得というものでした。

・私自身は、「一人法務」ではないのですが、「一人法務」という切り口から見た「法務」の捉え方というのは、「多人数法務」に対しても応用が利くのではないかと考えましたので、その視点から少し考えてみたいと思います。

・本記事においては、「契約業務のデザイン」という見出しの下で、業務フローの把握・整備契約に関連する情報の収集契約審査・契約書の起案という3つの視点を掲げています。

・私個人としては、この中で、契約に関連する情報の収集という段落が非常に興味深く読むことができました。理由としては、法務業務におけるアウトプットを生み出すものの主たる源泉は「情報」であるというのが、自分自身の法務業務を行うにあたっての大きな指針となっているからです。

・本記事では、情報収集の必要性に関し、

少なくとも、契約審査への着手より前に、取引の内容や背景、これまでの経緯を、契約審査を円滑に進められる程度には把握しておくべきである。また、取引の重要性が高い場合には、必要に応じて事業担当者を支援し、もって契約の内容をコントロールするため、取引に関する情報を収集する時期を早め、収集する情報の粒度を上げることが望ましい。(前掲25頁)

と述べております。この内容は、私も強く共感するところです。私なりにこの内容を実践するために必要なスキルを考えてみると、①大きな視点で見たときに自社のビジネスはどこに向かっているのか②事業部門担当者との人的コネクション③自社ビジネスの推進に必要な法的スキル、といったものがあげられると思います。

 ここでは情報「収集」に視点があてられていますが、「一人法務」という枠を超えて、「多人数法務」ということになると、「収集」した情報を「整理」し「共有」するというプロセスが必要になってくると思います。そうだとすれば、ここで課題として考えられるのは、

 ● 「整理」はどのように行うのか

 ● 「共有」はどのように行うのか

といったものになると思います。

 端的に、なぜ「収集」した情報を「整理」し「共有」する必要があるのかと考えると、私自身が普段の業務にて意識している視点としては、①自分自身の今後の業務におけるノウハウとするため②現時点の他の部員に対してノウハウを共有するため③将来における他の部員に対してノウハウを共有するため、の3つの視点を意識しております。その上で、どう整理するのかと考えると、最もシンプルなのは、自分自身の思考の構造と(クラウド上での整理を前提として)整理するフォルダの階層構造を合致させることではないかと思います。と、簡単に書くには書いたのですが、実際に日々の業務で実践しようとするとこれが中々難しく、その原因は自分自身の思考の構造がすっきりとしていない点にあると考えらえるので、思考をすっきりさせるためにも「整理」という切り口をうまく利用するのは非常におすすめです!

 また、「共有」という切り口も非常に大事なのですが、これもまた、「何」を共有するのかというのが非常に悩ましい問題になります。法務部門においてよくあげられる課題として、事業部門の情報が乏しいというものがあると思いますが、これも、過去及び現在までに「収集」した情報を適切に「共有」してみると、案外情報は持っているということがありえます。

 いわゆるリーガルテックは、この収集した情報を「整理」し「共有」するというプロセスに潜む課題を解決する一つの策と思いますので、うまく使っていき、法務のアップデートを行うことが大事と最近は感じている次第です。

 ・また、本記事では、情報収集の方法に関し、

現場との近さは法務担当者の最大の強みの1つである。 これを背景とした自社の事業や同僚、取引先への深い理解があるからこそ、契約の事業上の意義や重要性はもちろん、そこに表立っては書かれていない当事者の意図を推し量ることができ、外部の専門家とは質的に異なる価値を会社に提供することができる。(前掲25頁)

と述べております。この中では、特に、「外部の専門家とは質的に異なる価値会社に提供」というのが非常に大事な視点になってくるかと思います。

 私は、以前、Twitterにて、

とつぶやいていたのですが、今の自分が意識している「外部の専門家とは質的に異なる価値会社に提供」というのはこの視点になっています。具体的には何なんだというのは、日々の試行錯誤の中で考えていきたいところです。言うは易し行うは難しですね・・・。

・本記事は、一人法務を対象としたものではありますが、多人数法務においても十分に応用が利く内容になっていますので、読まれること非常にオススメです!!

 

2.法務部に伝えたい ”実効的”内部監査のコツ 第5回 グループ会社は同じ会社?(樋口達・前掲124頁)

・本記事は連載物になっておりまして、「監査」という視点の重要性を教えてくれる記事になっております。特に、本号では、「グループ会社」の監査という視点を掲げています。

・本記事で大事なのは、

グループ会社とはいえ、親会社とは別会社である以上、企業文化や業務フロー、働く人々の意識などさまざまな点で異なる可能性があります。(前掲・126頁)

に尽きるのではないかと考えます。特に、多角化した事業を営む企業の法務部門になってくると、よりこの課題は顕著になってくるのではないかと思います。

・まず、私自身は、法務部門において「監査」という視点を持つことは非常に大事なことと思います。リスクマネジメントのPDCAは何かと考えるに、規定の策定⇒規定の運用⇒規定及び運用状況の確認⇒規定の修正、というのがオーソドックスなものになろうかと思います。そうだとすれば、このPDCAをしっかりと回すために、リスク管理の主管部門である法務部門としては、監査=Cを意識した上での規定の策定を行うべきであると思いますし、実際に監査を行う部門との連携も実務上は推進していくべきなのではないかと思い、日々の業務に励んでいるところです。

・1.の記事とも関連しますが、「グループ会社」の「情報」ということになると、一段とその情報収集が難しくなってくると思います。特に、多角化した事業を営む企業の法務部門の方であれば、なおさらこの課題に直面するのではないでしょうか。

 これに対する解というのは私自身も試行錯誤中なのですが、一つは、法務部門⇒グループ会社の直接の情報収集ラインを中心に据えるのではなく、法務部門⇒事業部門の管理部門⇒グループ会社という間接的な情報収集ラインを中心に据えるべきなのではないかというものです。直接の情報収集ラインを構築し、かつ維持することができればいいのですが、法務部門のリソースも限られていますし、特に、多角化した企業であればなおさらこの方法は厳しいのではないかと思います。それならば、むしろ、ある種のリスク管理アウトソーシングということで、法務部門⇒事業部門の管理部門の連携を深めた上で、事業部門の管理部門にハブ的な役割を担ってもらう方が良いのではないかと思っております。特に、法令や全社規定の改定があった場合やグループ会社のビジネス環境に変化があった場合などは、このハブ的な位置づけの部門により相互の情報共有をなすことが、よりスムーズなリスク管理に繋がるのではないかと思っています。

 

本月号も勉強になることばかりでした・・・。頑張ります!!

【演劇】赤玉☆GANGAN~芥川なんぞ、怖くない~(流山児☆事務所)鑑賞

もう先週のことになりますが、演劇鑑賞に行ってまいりました。

観劇したものは、流山児☆事務所による「赤玉☆GANGAN~芥川なんぞ、怖くない~」@下北沢ザ・スズナリでございます。

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なぜ、本公演を観劇することになったかというと、久しぶりに何か演劇でも見に行くかとふと思い立ったところ、知人に演劇人がいたことを思い出し、同氏に何か良さげなものはなかろうか?と尋ねたところ、本主催者を勧められたことによります。

やはり持つべきものは、多種多様な友人ですね。

さて、肝心の公演内容なのですが、同演劇のパンフレットに記載された流山児氏(芸術監督)の言葉によりますと、

約100年前の関東大震災後の大正末期、 震災で心の傷を負った文学青年たちが「自分の表現」を求めて足搔く青春群像劇です。芥川龍之介谷崎潤一郎菊池寛武者小路実篤、島田清二郎といった偉大な作家、売れっ子作家の影に嫉妬し、抗いながらも、家族も友人も恋人も巻き込んで新しい文学を必死に志向するそのさまは、私たちの「劇現場」に似た「真情あふるる軽薄さ」です。

といったところに表現されている通りのものになります。

観劇しながら、いろいろな人物が登場するのですが、自分が一番引き込まれた登場人物は、悠木修一という人物でした。この人はどういう役回りかというと、当時の文壇においては、芥川龍之介と島田清二郎というのがある種重要なポジションを担っていたようなのですが、両者を比較分析する論考を書いたという役割が与えられています。文学界にどっぷり浸かった者からすれば、同氏の意見を聞いてみたいと考えるのは自然な感情なのでしょうが、また劇中では、同氏が中々主体的な役回りを演じることなく、なんというか傍観者としての位置づけにいたがるという感じに見えました。自分自身は何者でもない者になりたいという生き方を志向しているとのセリフもありましたが、そのことも影響しているのでしょう。そして、そのような生き方を志向する背景には「母性」の欠如というものも描かれております。

あえて自分自身のフィールドに引き付けて考えますと、いわゆる富野ガンダムシリーズにおけるシャアというキャラクターも、その生き方に「母性」の欠如というのがひどく影響しておりますし、どこまでも責任を引き受けることのないキャラクターとして描かれることが多いのですが、何か似たようなものを感じ取ってしまいました。

母性というと、この辺りの本を読むと結構面白いです。

父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

 

 

といろいろ思考したのですが、演じておられた中島歩氏は中々イケメンで低音ボイスもかっこよく、むむむと思ったのが素人感想です笑

しかし、自分自身の観劇能力もまだまだなのか、理解が追い付かないセリフ等もあり、日々、いろいろなことを考えることの大事さを再認識した次第です。

ただ人生いろいろだし、まぁそれなりに前向きに生きていれば何とか道は開ける、というメッセージは根底に流れているような気がしました。これが一番大事ですからね!

 

観劇は非常に面白かったです!また見に行きたいです!!

【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2019年9月号 感想

BUSINESS LAW JOURNAL 2019年9月号の備忘録です。

Business Law Journal 2019年 09 月号 [雑誌]

Business Law Journal 2019年 09 月号 [雑誌]

 

1.「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」の概要(塚本英巨・前掲54頁)

・本記事は、読んで字のごとく、2019年6月28日に経産省により策定された「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」*1の概要を解説する記事になっています。

・同実務指針は、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を敷衍した上で、企業グループ全体、特に大規模な企業グループを想定した上で、企業価値の向上を図るという視点から同コードを補完する位置づけになっているようです。主な項目としては、

① グループ設計の在り方

② 事業ポートフォリオマネジメントの在り方

③ 内部統制システムの在り方

④ 子会社経営陣の指名・報酬の在り方

⑤ 上場子会社に関するガバナンスの在り方

といったものがあげられます。このような項目からすれば、今後、いわゆる大規模な企業グループと位置づけられる企業においてガバナンスの仕組みを策定する上では、本実務指針をまずベースとすることになるのでしょう。

・それでは、企業の担当者レベルにおける法務パーソン」としては、本実務指針に対してどのように向き合っていけば良いのでしょうか。実務担当者の自分としては、その点に最も関心がありますので、少し考えてみたいと思います。

・以上に掲げた5つの項目のうち、自分自身の職務に関係する項目としては、③内部統制システムの在り方になります。③の観点としては、

 基本的に、いわゆる3線ディフェンスの考え方、すなわち、第1線(事業部門)、第2線(管理部門)および第3線(内部監査部門)のそれぞれのチェック機能によるリスクマネジメントの考え方に沿って整理されている

と指摘があるように、いわゆる3線ディフェンスの考え方が強調されています。

 ・第2線に属することが多い法務の実務担当者としては、第1線(事業部門)及び第3線(内部監査部門)と業務に関してどのように関わっていくかは一つの大きな課題になるかと思います。

・まず、第1線との関わりですが、第1線に属すると考えられる人の中にも、営業担当者、管理担当者が存在すると思います。営業担当者から直接の相談を受けることもあろうかと思いますが、その場合も、自分は、管理担当者との間で密な情報共有を行いますし、営業担当者→管理担当者→法務担当者といった情報伝達経路を確保するように努めます。理由としては、第1線における当該リスク管理責任者の職責を明確化し、かつ情報集積ポイントを指定しておかないと、リスク環境が変化した場合や仕組みをアップデートする際に第1線の中でアプローチすべき人材が不明瞭になり、情報収集及び展開の効率性が阻害されると考えるからです。

・次に、第3線との関わりですが、日々の職務の中でいかに第3線の存在を意識できるか、すなわち、第3線の職務が、リスク管理規定が存在すること→当該規定の内容に沿った教育活動を実施すること→当該規定に沿った運用がなされていること、といった一連のプロセスが稼働しているか否かを監査するものであることを意識した職務遂行ができているかが大事かと思います。もし、このような第3線の職務内容を意識しないまま第2線の職務を遂行してしまうと、第3線の監査内容は、規定に沿った運用がなされているかではなく、何も問題は起きていないかという着眼点になってしまう恐れがあるかと思います。後者の着眼点の場合ですと、(ア)規定に沿った運用がなされているから問題が起きていない、(イ)たまたま何も問題が起きていないの2つを区別することができず、リスク管理PDCAサイクルが有効に機能しないことになってしまうと思います(CAの欠缺)。

・さらに、ビジネスモデルや業界の異なる多数の事業部門及び子会社を有している企業グループになると、この第1線及び第3線との関わり方はさらに複雑なものになるかと思います。この場合、少し考えただけでも、(ア)第2線として第1線に提示する全社共通のリスク管理の仕組みとしてどこまで踏み込むべきか(全部門に共通するミニマムリスクを管理可能な仕組み「のみ」の提示にとどめるべきか、それ以上の個々の要素まで踏み込むべきか)、(イ)実際にリスク管理の仕組み構築を行う際に全社同時進行にすべきか、ある部門の整備を先行させて横展開を実施すべきか、等推進にあたっては考えることが多く、自身の職務遂行にあたっても未だ悩むことばかりです。

・最近はリスク管理に関してよく勉強します。今は、以下の本を読んだりしてます。

リスクマネジメントのプロセスと実務 増補版
 

 2.令和時代の新しい法務の姿ー契約の設計図づくりでスムーズな事業推進をー(笹原健太/助川卓矢・前掲2頁)

・広告部分の対談でしたが、興味深かったです。

・どうしても法曹教育に代表される法学においては、過去に発生した事実の分析スキルは十分に教授されるが、将来に向けて物事を推進するスキルというのは意識しないと中々身に付きにくいものかと思います。

・その結果どうなるかというと、自分が考えるに、法務部門の業務遂行が受動的なものになり、主体的に働きかけた上での付加価値を提供できていないという課題に直面しているかと思います。

・このような課題に対する解としてはいくつかありうるのだと思いますが、その一つの解として、プロジェクトマネジメントのスキルというものをあげることができるかと思います。このような法務部門におけるプロジェクトマネジメントの重要性というのは、一部の法務パーソンの間で指摘されているところで*2、さらなる議論の深化が待たれますし、自分自身でもいろいろと試行錯誤していきたいです。

・こういったスキル面からの解決とは別のものとして、ITシステムを用いた解というものも考えることができるように思います。本記事においては、まさに対談者のプロダクトを例にとり、

プロジェクト単位であらゆる契約を管理できる「プロジェクトクラウド」があれば、事業立ち上げの段階で事業と法務、その他関係する部署がまず最初に集まり、プロジェクト全体の設計図を作ることが可能になります。

とありましたが、今後は、ITシステムをどう利用するかを考えていくことも必要だと再認識しました。

・結局のところ、法務業務の受動性をいかに主体性を持ったものに変えていくか、というのは極めて重要な課題であり、その解として、スキル面やIT面といった様々なものを用いていくことが必要というレベルでしか考えはまとまらないのですが、日々試行錯誤していきたいと思います。

 

本号についていたLawyers Guideも読みましたが、ある一つの分野という切り口から多くの法律事務所の考え方を知れるというのは、多分に営業トークの側面があるとしても、法律問題の切り口を考えるにあたっては中々面白いものだと思いました。

 

今月号も勉強になりました・・・!!