普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】法務担当の私が他社の法務関係者と交流を持つようになって変化したこと

 最近、職場の研修で、自分自身のライフチャートを深堀し、これまでの人生で自分自身にとって変化があったと感じることを言語化する機会がありました。

 そのような中で、自分自身もこれまで明確には言語化できていませんでしたが、私にとって他社の同職種の人と交流を持つようになったことは、仕事人生において重要なターニングポイントだったように思います。具体的には、いろいろな仕事人生があるというのを知れたことは非常に大きな転換点だったと思います。

 

 まず、私自身の属性としては、いわゆる有資格者であるのですが、社会に出る前の時点では企業法務に関わろうという気持ちは一切ありませんでした。この時点では自分自身のやりたいことや向いていることに十分に向き合っていたとは言えませんし、もっと言ってしまうと展望については何も考えられてなかったというのが正直なところです。ただ、漠然と、「法律家という職業」で生きていくのだろうと自分自身を決めつけていたように思います。

 

 そういった漠然とした意識のまま、いわゆる法律事務所に就職しましたが、いろいろとあって短期離職をしました。加えて、当時は業界の氷河期であったこともあり、どこも行く宛てもなかったことから、それまで一切考えてなかった企業への就職という道をとることにしました。この時点でも企業内での法務の仕事が何をやるのか正直よくわかってませんでしたし、いわゆるインハウスとして戦略的に進路を決した人々とは雲泥の差があったように思います。正直言ってしまうと、極めて消極的な理由で働く場所を選んだという形になります。

 

 こういった経緯で企業内で働き始めたわけですが、企業内で働き始めて2,3年の間は、かなりモヤモヤした気持ちがありました。具体的に言うと、社会に出る前の時点での「法律家という職業で生きていくと考えた自分」と現時点での「組織人としての自分」の間で葛藤が生じており、自分自身でそこを解決することができなかったというのがその理由となります。

 そんな形でモヤモヤした気持ちを抱えていたわけですが、というかモヤモヤした気持ちがあったからこそ、その捌け口として、SNSにおいて法務関連のつぶやきを始めたというのが、ネットの世界を通した法務関連の関わりの始まりだったように思います。

 ただ、今思うと、このことは、自分にとっての仕事人生のターニングポイントだったように思います。それまでは自社の人としか法務関連の多少深めた話をすることはありませんでしたが、SNSの海には法務関連の深めた話をしている人々がウヨウヨいることに結構な衝撃を受けました。というか、こんな考え方もあるのかと、今までの自分の視野の狭さを突き付けられたのを覚えています。

 そうこうしていると、リアルの方でもいろいろと出向いていくことが増え、世の中には、同職種の人といってもいろいろなバックグラウンドの人がいるんだなぁと思い知らされたのは良い経験だったと思います。

 この辺りになってくると、先に見た自分自身の「法律家という職業で生きていくと考えた自分」と「組織人としての自分」の間における葛藤も、それほど自分の中では大きな問題ではなくなり、目の前の仕事をコツコツやることで経験から自分なりのアイデンティティを創っていけば良いと思えるようになったように思います。

 

 いろいろ書いてきましたが、当時は何も思っていませんでしたが、歩いてきたあとに振り返ると、あのとき勇気を出して外に繋がりを求めに行って良かったなぁと感じる次第です。それをしなければ、今頃、呪いの言葉を吐き続けていただけのように思います。

 

 おそらく、他社の法務関係者と交流を持つことの意義は人によっていろいろと思います。私のようにアイデンティティの面で何らかの変化が起きることもありますし、もっと実務的な情報交換ということで仕事の成果に変化が起きることもありますし、はたまたそこでの縁で働く場所が変わることもあるでしょう。いずれにせよ、後から振り返ると、少しの勇気で何か変わることもあると感じた経験になっている次第です。

 

以上