普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】法務歴7、8年目くらいの私に最近刺さった本5選+α

 最近、新入社員に薦める*1、3から5年目くらいの法務担当に薦める*2といった形でオススメ書籍をまとめてみたのですが、法務歴7、8年目くらいの今の私に最近刺さった本についてもまとめて見たいと思います。組織に目を向けるという切り口での本になります。

 

1.Q&A若手弁護士からの相談199問 特別編‐企業法務・キャリアデザイン(京野哲也編著、ronnor・dtk著、日本加除出版)

 組織でのコミュニケーションの観点で刺さりました。

 本書については別の記事で感想を書いたのですが*3、実務的な切り口でのコミュニケーションを言語化した本になってます。契約ノウハウや法務の心構えについて歴戦の実務家の方が言語化した書籍は他にあるのですが、そういった専門性あるスキルとは別に、実際に組織でうまくやっていくためのコミュニケーションを法務の観点で書いた本は中々ないと思います。また、ある一定の年次になってくると、やってくる案件をこなす以上の役割が求められるわけで、そういった際には必然的に「他人を巻き込む」ということが必要になってくると思っております。ちょうど自分の場合はそういった役割が期待される年次になってきたことから、今の自分の悩みに直結した本ということでバシッと刺さりました。

 

2.官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術(久保田崇、朝日新書

 ダーティーな面も含めて組織での立ち回りという観点で刺さりました。

 1.の書籍が正当派な切り口での組織内でのコミュニケーションを書いているとすれば、本書は保身や根回しも含めた少しダーティーな面も含めた切り口での組織内でのコミュニケーションを書いている印象です。こういった組織内での立ち回りというのは、以前であれば飲みニケーションや出社時の観察といったことから身に着けたのでしょうが、そういったものがなくなりつつある現在においては、そんなの「当たり前」と思われるようなことも意識して学んでいく必要があるのだと感じます。案件遂行だけを考えていれば良い年次から卒業しつつある自分には刺さりました。

 

3.業務改革の教科書‐成功率9割のプロが教える全ノウハウ(白川克・榊巻亮、日本経済新聞出版)

 業務改善の手法を学ぶという観点で刺さりました。

 それなりの期間を同じ組織で過ごしていると、多かれ少なかれ組織の仕組みに対する不満というモノは出てくるように思います。ジュニアの年次であればまだしもそれなりの年次になったならば、自分自身で業務改善を企画し、抵抗勢力を説得し、新しい仕組みを作っていく必要があると感じます。そういった際に、業務改善の手法やツールを何も知らずにやった場合には、中々、他人を説得するというのは厳しいところがあります。企業が大きかったり、歴史が長ければなおさらだと思います。周囲を巻き込み説得性ある業務改善提案をしていく年次になった自分には刺さりました。

 

4.ビジネスプロセスの教科書第2版(山本政樹、東洋経済新報社

 組織のプロセスを学ぶという観点で刺さりました。

 3.で見た業務改善を提案するにしても、自社のビジネスプロセスを言語化・図示化した上で分析した資料を作成しないと、他人を説得するのは容易ではないとひしひしと感じております。その観点で行くと、ビジネスモデルについて分析する方法を述べる本はいくつもありますが、ビジネスプロセスについて分析する方法を述べる本は中々ありません。本書の特徴は、ビジネスプロセスの「教科書」という名前の通り、そういった分析手法について具体的かつわかりやすく書いており、興味深く読めました。組織の現状を分析する必要に迫られた自分には刺さりました。

 

5.担当になったら知っておきたい「プロジェクトマネジメント」実践講座(伊藤大輔日本実業出版社

 自分で企画した業務を遂行するスキルを身に着ける観点で刺さりました。

 3.で見たように企画し、4.で見たように分析したとしても、実際に「実行」し「完遂」できなければ、結局は意味がないことになってしまいます。じゃあどうしようかということですが、自分の場合は、プロジェクトマネジメントの基礎を書籍で学んでみたのが非常に役に立ちました。当たり前ではありますが、目的、スコープ、コスト、期間、それらを管理するための手法について、取り入れられる部分だけでも取り入れてみるだけでも、自分で企画した業務を「管理している感」というのは全然違う印象です。他にも学べる書籍はあるのですが、私の場合は本書をたまたま手に取って納得感を持って読むことができました。業務を実行し完遂するためどうしたら…と考えた自分には刺さりました。

 

番外編.法務関連コミュニティ

 書籍とは異なりますが、法務関連のコミュニティに顔を出すというのは、最近の私には刺さるところではあります。私の場合、SNSを通して情報に触れることもありますし、SNSとは全く関係のないコミュニティで情報に触れることも多いです*4。ただ、いずれにしても、自社内で完結していれば見えないもの、感じ取れないものは多数ありますし、また、周囲を巻き込む必要がある年次になってくれば、他社の方を含めたコミュニティで得た情報も考慮の上で企画していくというのは、発想力の観点でも、説得力の観点でも、重要になってくると思います。そして、ある程度の年次になって来れば、自分からいろいろしゃべるというのもできてくるので、関りが楽しくなってきます。なので、殻に閉じこもらず、積極的に周囲と関わりを継続していこうとは感じる次第ですし、同じくらいの年次の人には非常におススメです。