普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】一法務担当者の私が事業理解と法務相談について考えること

 最近、Twitterにおける法務界隈を見ていると、「事業理解」と「法務」について様々な人がその自身の経験知を言語化しています。

 おそらく、法務の文脈で「事業理解」という言葉が出ると、業種にもよるが現場に行くとかプロダクトに実際に触れてみる、ヒトモノカネの流れを知るなどの「よく言われる言葉」があるように思います。また、少しレイヤーを上げれば、全社戦略における投資ポートフォリオに沿った形で法務リソースを投入すべきといったことや事業戦略における競争ストーリーを阻害する法的要因を取り除くといった形で語られることがあるようにも思います。

 そういった様々な視点での「事業理解」と「法務」の関係が述べられますが、自分自身のコントロールが可能な一法務担当者の私が日々実践していることについて言語化してみます。

 

1.日々の法務相談で意識している点

 端的に言うと、私が意識している点は、事業を理解しようとしていると思ってもらえるようにすることになります。

 事業を理解するとなると、事業の方針や稟議資料、生の業界情報など様々な情報が必要になってくるように思います。これらの情報については自分自身でも日々の業務を通して意識して収集しているところですが、自分一人ではどうしても限界があると感じています。

 なので、自分一人で理解し尽くすことはある意味で諦めて、事業に詳しい人に教えてもらえる状況を作ることは意識しています。具体的に言うと、相談を受けた際には、今やろうとしていることって、〇〇ってことなんですねー、と言葉にすることを強く意識していますこの一言がいえるかどうかでコミュニケーションの質はかなり変わってくると思います

 もちろん、実際に事業を理解した上で事業に則したアウトプットを出すことは最終的には重要だと思います。ですが、事業への解像度が低い状況であれば、ビジネスサイドの方に、こいつは事業を理解しようとしていると思ってもらえるようにすることの方が重要と思います。すぐに事業に則した成果は出せないかもしれませんが、コミュニケーションの中で徐々に生の情報を仕入れていくのは、後々で効いてくると強く感じます。なんだかんだ言って、現場感覚をどのように仕入れていくかを徹底的に考えるのが重要と思います。

 

2.例外的な状況と認識している点

 ただ、案件の性質によっては、一担当者であっても、事業を理解した上でのアウトプットを出すことが強く求められる場面はあるように感じます。例えば、様々な部門が関わるPJにおいて、自分自身の役割が定められ、その部分についてはきっちり自分の責任でこなす必要がある、というような場面では、きっちりと事業を理解した上でのアウトプットが必要になってくるとは思います。この辺りは、自分自身の位置づけを考えた上で職務を遂行していく必要があると思います。

 また、立場が変わると、事業を理解した上でのアウトプットを出すことが強く求められる場面もあるように感じます。例えば、リーダーとしてのポジションで職務を行っていたり、それなりの期間にわたって当該企業に所属し、当該事業を担当していたりするようであれば、周囲からの見られ方として、事業を理解していることが前提となることも多々あるように思います。立場によってどのように見られるのかも意識していく必要があると感じます。

 

 自分が普段考えていることを書いてみましたが、自分の考えや姿勢は言葉にしないと他人には伝わらないというのが根底にあるところではあります。また、そうして伝えた先の相互作用で、自分と他人が成長するというのは意識しているところです。継続して試行錯誤していきたいところです。

 

以上