普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】一法務担当者なりにここ数年の経験を振り返ってみた(前編)

 法務担当者として働きながら数年が経過したわけですが、一度、いろいろと整理しておこうと思います。過去は美化されてしまうことが多いので*1、定期的に見つめなおすことも大事かなぁと。

 ざっくりまとめると、事業に向き合った、法的リスクに向き合った、変化に向き合ったという3つの切り口からいろいろと整理できるように感じました*2

 

● 最初の頃 

 いろいろあって企業内法務界隈に流れ着いたのですが、企業でのインターン等を経験していたわけでもなく、また、周囲に企業内法務に従事されている方もいなかったので、正直、最初はどういう仕事をするのかのイメージも沸いていなかったというのが実情です。なので、当初は、やってきた質問に機械的に答える、契約審査においても自身の法律知識やよくあるひな形との整合性チェックを行うといった形で職務をこなしておりました。ある意味、ルーティンワークとして仕事をこなしておりました。

 

● 事業に向き合ってみた

 企業内法務に関わる言説を見ていると、方々で、事業を知ることが一番大事という言葉を聞くと思います。

 しかし、自分の場合、これを聞いてもどういうことなのかがよくわかりませんでした。一応、目の前の案件の製品はこれこれで、客先はどこどこで等に関し、機械的ヒアリングはするのですが、それが自分の仕事との間でどのように繋がってくるのかが理解できてなかったように思います。

 あと、法務界隈でよく聞く言葉として、攻めの法務・守りの法務、パートナー・ガーディアン、臨床法務・予防法務・戦略法務という言葉もあると思うのですが、これらも一応調べてみたりしたのですが、言葉では理解できるものの、イマイチ自分の仕事とどう関わってくるのかは理解できませんでした。

 そうすると、やっぱり、この仕事って何が面白いんだ・・・という疑問が湧いてくるんですよね。と、ここで終わればアレだったのですが、まだ何か考えきれてないな・・・と違和感を感じていたので、法務に関わる研修会や雑誌、ブログ等をいろいろと読み漁るようになったように思います。

 

 が、結局、自分のアウトプットにどう活かせばよいのかがわからない笑みんな、同じことを言っている気もするし、違うことを言っている気もするって感じでしたね。

 ここまできてようやく、もう一回原点に立ち返って事業に向き合おうと思い至りましたね笑どう向き合うかを考えたのですが、まずは営業部門からの相談に対応するために、当たり前ですが、①何を、②どこに売るのかをしっかり把握することにしました。具体的には、この製品の目的は何か、機能は何か、客先はどういうところか、市場はどういうところか、市場の成長性は、今後はどうするのか等、いろいろと気にするようになってきました。

 そうすると、どんどん気になることが増えてくるんですよね笑原価率はどうなっているのか、本案件の特殊な仕様はあるのか、調達品はどこから買うのか、特殊なところなのか、製造工程のリソースはどのような感じなのか等、いろいろと気になってくる。そうしていると、開発⇒製造⇒販売のバリューチェーンサプライチェーンの「流れ」とそこに潜む「リスク」が自分の仕事との関係で大事だということも何となく見えてきましたし、それらに関する簡単な書籍でにわか知識を仕入れる等もしてみました。

 

 ここら辺までくると、ようやく、事業部門の人と「対話」できているなと思えるようになってきましたし、事業に潜む「リスク」が見えるようになってきたと思います。同時に、企業内法務の仕事って何か面白いな・・・と思えるようになってきたように思います。

 

 中編へ続く。

chikuwa-houmu.hatenablog.com

 

*1:既に、過去の状態や感情を忘れつつある。悲しいかな。

*2:その他、チームや組織にどのように向き合うか等、考えるべき「軸」はまだまだあると思っています。