【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2020年9月号 感想
Business Law Journal 2020年9月号を読みました。
本号の特集は、企業法務を取り巻く環境変化‐案件の増減/勤務環境/テクノロジー活用(前掲15頁以下)であり、コロナの影響による弁護士の人材市場、企業法務系弁護士事務所の環境変化、法務部門の環境変化の3つのテーマに分かれたコメントがなされていました。この中では、自身の業務に直結しているという観点から、法務部門の環境変化におけるトピックが最も興味を持ち読むことができ、そして、これらの論考に対し、最近の自分自身の興味関心であるwith/afterコロナにおける「情報」への向き合い方という軸を持って読んでみました。
同記事内においては、法務部門の責任者や担当者、業種で見てもIT、メーカーや不動産、さらには日系企業や外資系企業、と様々な属性の方のコメントが載っております*1。その中で、「法務としての働き方の変化」という項目があり、要するに、コミュニケーション手法の変化やその効果に関してのコメントが載っているわけです。
読む前の想定としては、withコロナにおけるコミュニケーションの課題はこうである⇒自社ではこういった取り組みをしている、といったコメントが多いのかと思いながら読んでみたのですが、いざ読んでみると、「コミュニケーション」といっても様々なレベルで捉えることができると気づかされました。
例えば、
また、以前であれば、相談者と案件に関係ない事業の話をすることも珍しくなかったのですが、在宅勤務日数が増えたことで、そうした雑談の機会も減ってしまいました。事業部門とのコミュニケーションは全般的に減少していると感じます。(家庭用品メーカー法務担当者、前掲34頁)
というコミュニケーションのマイナス面を語るコメントもあれば、
コロナ禍後のことは未定ですが、在宅勤務期間中、Teamsでの即席の打ち合わせが増加するなどコミュニケーションのハードルはむしろ下がったと感じていますので、今後も在宅勤務が定着することを期待しています。(メーカー法務部長、前掲36頁)
というコミュニケーションのプラス面を語るコメントも見られました。
さらには、プラス面とマイナス面の両コメントをされている方もおり、
チーム内コミュニケーションについては、意識的におしゃべりのためのバーチャル会議を設けているため、全体としては以前よりもスムーズな情報共有ができているかもしれません。
[中略]
また、コロナ環境下では、オフィスにいれば自然と情報が入ってくる、ということが期待できません。分からないことがあれば、積極的にオンラインで同僚等にコンタクトしなければなりません。自己研鑽とともに、臆せず自発的に行動できることが重要になると思います。(外資系製薬メーカー法務責任者、前掲38頁)
プラス・マイナス、いずれの側面もあるように思われます。
そこで、少し考えてみると、コミュニケーションといっても、
① 同じ部門内でのコミュニケーション
② 異なる部門とのコミュニケーション
の2つがあり、当然、前提としている人間関係や共有している情報等が変わってくるわけです。
また、「情報」という切り口から、コミュニケーションを捉えたならば、
① 「情報」の端緒の把握
② 「情報」取得の場の設定
③ 当該場でのスムーズな「情報」の取得
④ 取得した「情報」の共有
といった層にざっと分けられると思いますが、前記のマイナス面のコメントは①の場面を言っているように思えますし、また、前記のプラス面のコメントは②④の場面を言っているように思います*2。
いずれにせよ、with/afterコロナの法務業務において、コミュニケーションというものが語られることは多いと感じていますが、どういう視点でコミュニケーションを見るか、そして、その影響はどのようなものかといった諸点には、しっかりと向き合い、取り組んでいく必要があると感じました。
以上