【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2020年7月号 感想
Business Law Journal2020年7月号を読みました*1。
● 新型コロナ対応法務の視点(前掲19頁)
現在の社会状況を見るに、最も対応に注力せねばならない事象と言えば、コロナによる様々な影響に関するものなのでしょう。
コロナにより影響を受ける事象に対する対応としてはこれまでも様々な媒体でタイムリーな記事等が公開されておりますし、また、アフターコロナやウィズコロナと題してこれからの法務部門の在り方といったものもいろいろなところで語られているように感じます。
そういった点ももちろん重要な点ですが、もう少し身近なところで何かできることはないのか、そんなことを考えながら本特集を眺めていたところ、
まず、これまでの東日本大震災等の際に用いて部内で準備しておいた不可抗力通知(和文・英文)を社内向けウェブサイトに掲載し、営業を中心とした社内各部門にひな形として利用できる体制を3月上旬に整備しました。(前掲53頁)
等はなるほどと感じた点でした。
この対応自体、先手を打った対応をしている点でなるほどというものですが、それ以上に「東日本大震災等の際に用いて部内で準備しておいた」 という点が個人的には目を引きました。
今回のコロナ対応において、様々な諸策を実施したように思いますが、果たしてそれが次に向けての共有財産となっているのか、今後想定される第二波や別の事象に対して参考とすべき教訓や資料がしっかりとした形で残されているのか、そのとき何が起きて何を考えどう判断したのかに関して後から分かる形になっているのか、等の次に活かすための手を打つことの重要性を再認識した次第です。
● 企業法務系ブロガーによる辛口法律書レビュー(前掲122頁)
今回の紹介書籍は、
でした。
同書は、私も読みましたが、手続法における重要な点である具体的なプロセスをイメージするという点に関し、「失敗事例」という点から学べるという点で非常に読みやすい書籍でした*2
企業法務界隈にいると、保全や執行という場面に出会うことも少ない気がしますし、そのせいか同分野を学ぶ機会も中々ないように思います。ただ、契約法務においても、契約書の作成により設計した権利の実現のためにはどのような法的手段があるのかをイメージするのは大事なことだと考えます。実際、リスクといっても、不用意な債務(義務)を負わないというリスクもあれば、自身の債権(権利)の実現の妨げとなるリスクもあるので、一定程度の保全執行に関する知識を持っておくことは有益なのではないかと考えます*3。
権利の実現という視点から見れば、B to CとB to B、国内取引と海外取引、金額、取引件数といった様々な点次第で、権利の実現リスクに対応する方法としては、より事前の予防にコストをかけるべきか、事後的な実現にコストをかけるべきか等も違ってくるように考えられるので、まだまだ学ぶべき点も多くあるように感じます。
そのような検討の一つの視点としても、保全執行の知識は役立つこともあるのではないかと考える次第です。
以上