普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2020年2月号 感想

 BUSINESS LAW JOURNAL2020年2月号の備忘録です。

Business Law Journal 2020年 02 月号 [雑誌]

Business Law Journal 2020年 02 月号 [雑誌]

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン
  • 発売日: 2019/12/21
  • メディア: 雑誌
 

 

 本号の特集は「法務のためのブックガイド2020」ということで、法務担当者や弁護士の方による書籍の紹介になります。

 紹介数は延べ160冊に及んだのですが、その中から、自分自身が「読みたい」と感じた書籍10冊を記録しておきます。なので、以下に記録する書籍は、未だ読んでいない書籍になります。読んだ書籍は除外しております。

 

① 民法(全)第2版(潮見佳男)

民法(全) 第2版

民法(全) 第2版

  • 作者:潮見 佳男
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2019/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 2019年度の法務業界における重要トピックスの一つと言えば民法改正だったわけですが*1、自分自身、民法改正に関する勉強としては、立案担当者の解説書である「一問一答 民法(債権関係)改正(一問一答シリーズ)」(筒井健夫・村松秀樹著、有斐閣を中心に、各種セミナー及び雑誌等の記事で補充していく形をとっておりました*2。これに加え、改正後の民法の全体感を把握するための教科書はないかと考えていたところ、過去に何度も読みこんだ書籍の改正民法対応版が紹介されておりましたので、買いなおそうと思う次第です。

 

② 実務で役立つ世界各国の英文契約ガイドブック(アンダーソン・毛利・友常法律事務所編)

実務で役立つ世界各国の英文契約ガイドブック

実務で役立つ世界各国の英文契約ガイドブック

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 商事法務
  • 発売日: 2019/04/17
  • メディア: 単行本
 

 英文契約審査のため、アメリカ契約法【第2版】」(樋口範雄、弘文堂)「国際商取引契約ー英国法にもとづく分析」(中村秀雄有斐閣等を用いて、契約法に関わる外国法令の考え方を学ぶよう試みているのですが、中々、幅広い国の契約関連法令の考え方を学ぶに至ってはいないのが現状です。もちろん詳細な検討が必要な際には、当該国の専門家への相談が必須となるわけですが、そうだとしても、諸外国地域における契約関連法令の知識を持っておくことは、仕事の見通しの点ではメリットがあると考えます。そこで、そのような場面でのガイドラインとなりそうな本書を読んでみようと思う次第です。

 

③ 入門 中国法(第2版)(田中信行編)

入門 中国法 第2版

入門 中国法 第2版

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本
 

  契約関連法令という範囲を超えて、他国の法令の考え方を学ぶために、「はじめてのアメリカ法」(樋口範雄・有斐閣「はじめてのEU法」(庄司克宏・有斐閣には目を通しているのですが、「中国法」に関連する書籍は読んだことがありませんでした。本特集でも指摘がありましたが、昨今、ビジネス上の中国に対する位置づけが変わってきつつあり、それに伴い企業法務における関り方も変わってくることにはなろうかとは思いますが、まだまだ中国法に対する理解が必要なことには変わりがないように思いますので、本書を読んでみようと思う次第です。

 

④ 実務 英文契約書文例集【第2版】(黒河内明子、ムーン・キ・チャイ)

第2版 実務 英文契約書文例集 サンプル書式ダウンロード特典付

第2版 実務 英文契約書文例集 サンプル書式ダウンロード特典付

 

 日々の業務で英文契約条項を作る際には、「英文ビジネス契約書大辞典<増補改訂版>」(山本孝夫、日本経済新聞出版社「英文契約書作成のキーポイント」(中村秀雄、商事法務)「新・国際売買契約ハンドブック」(住友商事株式会社法務部・三井物産株式会社法務部・三菱商事株式会社法務部、有斐閣を中心に参照することが多く、特に、「英文ビジネス契約書大辞典<増補改訂版>」は重宝しているところです。ただ、如何せん重いため笑、他に網羅性の高い書籍を探していたところ、本書の紹介を見て購入してみようかと思った次第です。

 

⑤ 法務の技法【第2版】(芦原一郎)

法務の技法(第2版) (「法務の技法」シリーズ)

法務の技法(第2版) (「法務の技法」シリーズ)

 

 企業法務の実務的なことが全くわからなかった当初、本書の第1版、スキルアップのための企業法務のセオリー」(瀬川英雄、第一法規「企業法務入門テキストーありのままの法務」(経営法友会 企業法務入門テキスト編集委員会、商事法務)を読み、企業法務のキホンのキを学ぼうとしたものです。本書は法律という切り口よりは、法務としての仕事の進め方に焦点を当てているとおもわれますが、数年の実務経験を経て身についた自分の仕事の進め方をチェックするためにも、今一度読んでみたいと思います。

 
⑥ 図解 不祥事予防・発見・対応がわかる本(竹内朗編、プロアクト法律事務所)
図解 不祥事の予防・発見・対応がわかる本

図解 不祥事の予防・発見・対応がわかる本

 

 企業の内部統制の仕組みの策定・運用をする際には、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」*3「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」*4「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」*5あたりが、参照資料になってくるのかと思います。本書をチラ見したところ、これらの資料を引用し、その上で実務に即した解説をなしている点に心惹かれましたので、読んでみたいと思います。ちなみに、竹内朗弁護士による研修も受講したことがありますが、非常に整理された説明でわかりやすかったです。

 

⑦ コンプライアンス・内部統制ハンドブックⅡ(中村直人編著)

コンプライアンス・内部統制ハンドブックII

コンプライアンス・内部統制ハンドブックII

  • 作者:中村 直人
  • 出版社/メーカー: 商事法務
  • 発売日: 2019/06/03
  • メディア: 単行本
 

 現在自分が継続的に読んでいる記事として、NBLにて1150号より連載している中村直人弁護士による「企業コンプライアンス羅針盤という記事があるのですが、毎回2ページほどの連載にも関わらず、非常に鋭い視点で企業コンプライアンスを語ったものになっています。その中村弁護士が編者であり、その他の執筆者の方々の顔ぶれもコンプライアンス関係で名の通った方ばかりである本書は、是非読んでみたいと思います。

 

⑧ 競争法グローバルコンプライアンス【増補版】(平尾覚、龍義人)

競争法グローバルコンプライアンス 増補版

競争法グローバルコンプライアンス 増補版

 

 競争法の教科書的な本となると、独占禁止法【第3版】」(菅久修一他・商事法務)独禁法講義【第8版】」(白石忠志・有斐閣を参照しているのですが、実務上、どのようなコンプライアンス体制の仕組み作りをしていけば良いかに関し、参考になる書籍を探していたところでした。ブックガイドの中において、本書を用いて、実務的な知識取得や社内向け資料を作成しているとの記載がありましたので、参考にしてみたいと思います。

 

⑨ AI・データの利用に関する契約ガイドラインと解説(経済産業省情報経済課、商事法務)

別冊NBL No.165 AI・データの利用に関する契約ガイドラインと解説

別冊NBL No.165 AI・データの利用に関する契約ガイドラインと解説

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 商事法務
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 大型本
 

 現状、いずれのビジネス分野においても、「AI」「データ」の利活用が進行しており、それに伴い、契約法務においてもこれらに関わる契約の焦点を理解する必要が出てきていると思います。その際には、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン*6*7を参照することになろうかと思いますが、如何せん長い笑そんな声を反映してか、本ガイドラインの要点に絞ったものとして本書が紹介されていることから、まずは、ここからマスターしようと考えた次第です。

 

⑩ 交渉の作法ー法交渉学入門(小林秀之編)

交渉の作法

交渉の作法

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2012/03/01
  • メディア: 単行本
 

 法務が交渉に行くべきかといった点はよく話に出る点であり、自分自身も、「法務」という切り口からの交渉に関する本としては、「法務・知財パーソンのための契約交渉のセオリー」(一色正彦・竹下洋史、第一法規「企業内法務の交渉術」(北島敬之、中央経済社を読んだことはあります。他にも有用な書籍があれば役立てたいとは思っていたところ、本書は、「法」という点が強調され、交渉に関する理論面が強く記載されているようなので、一度、読んでみようと考えました。

 

とりあえず、以上10冊を(余裕のあるときに)適宜購入し、読んでみたいと思います!

*1:BUSUNESS LAWYERS「2019年企業法務に関するアンケート結果」においても注目トピックスであったことが示されています。https://www.businesslawyers.jp/articles/700

*2:実務的な対応という点では、「改正民法の施行に対応するための取捨選択(上)」(藤野忠、BUSINESS LAW JOURNAL No.141・44頁)、「改正民法の施行に対応するための取捨選択(下)」(同、BUSINESS LAW JOURNAL No.142・61頁)が企業内で実際にどうしたらよいかという視点で記載がなされており、非常に示唆的です。

*3:https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190628003/20190628003.html

*4:https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/principle/index.html

*5:https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/preventive-principles/index.html

*6:https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191209001/20191209001.html

*7:産業保安版のデータ契約ガイドラインhttps://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2019/4/20190425.html)、農業分野におけるデータ契約ガイドラインhttps://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/b_data/deta.html)もあります。