普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】ビジネス法務2019年12月号 感想

ビジネス法務2019年12月号を読みましたので、備忘録として記録しておきます。

ビジネス法務 2019年 12 月号 [雑誌]

ビジネス法務 2019年 12 月号 [雑誌]

 

 

1.基礎から応用、定着までを通貫する!「英文契約書」読む力(前掲11頁)

● 「読む」スキルへの着眼

・本号の特集の一つは、「英文契約書」「読む」力を養うというものです。

・英文契約書に向き合う際のスキルとしては、多くのスキルが必要となりますが、

本特集は、英文契約書のスキルの中でも基礎の基礎。審査に先立ち、「読む力」を身につけていただきます。英文契約の意義や基礎的な表現、契約類型別の読解テクニック、解いて学べる実践問題集からトラブル事例への対処法まで、一息で読み切ることをお勧めします。(前掲11頁)

 と、「読む」スキルに主眼を置いた特集となっています。

・その上で、本特集では、以下のような5つのステップから、「読む」スキルを分解し、紹介しています(前掲11頁)。

 ① 英文契約の意義と成立要件

 ② 英文契約書の基本構造と表現

 ③ 契約類型別読解テクニック

 ④ 契約書審査の実践問題集

 ⑤ 契約認識の齟齬から生じた実際のトラブル・対処法

● 「読めない」と感じるとき

・ 以上のように、本記事では英文契約の「読む」スキルを紹介しているのですが、これを基に、自分自身が英文契約を「読めない」と感じる時に関して考えてみます。

・日頃、自分自身が、英文契約書を「読めない」と感じる時は、以下のような諸点に躓くことが多い気がします。

 ▻ そもそもの英語力が不足している

 ▻ 英文契約書固有の表現に関する理解不足

 ▻ 当該契約類型の契約書に対する理解不足

 ▻ 当該法体系や準拠法に関する理解不足

 ▻ 当該ビジネスに関する理解不足

 ▻ 貿易実務知識等の不足

・そうだとすれば、英文契約書を「読めない」と感じたときには、(数をこなすことは必要ではあるものの)闇雲に何かに突き進むよりは、自分自身の課題が何かを見極めることが大事な気がします。そのための一つの指針として、本記事での視点は有用かと思います。

・また、「読む」を超えて、「審査」という段階になった場合には、どこまで自社内で審査しどこからは社外への協力を仰ぐのかを判断するスキル、分析したリスクに関し書面及び運用面でどのように対応するのかを提案・判断するスキル等も必要になってくると思われます。

 

2.先輩・後輩で描く 企業法務のグランドデザイン 第5回 法務部員の教育(須崎將人・中山剛志・宮下和昌、前掲81頁)

● やるべきことは何か

・本記事では、「法務部員の教育」と称して、法務人材が身に着けるべき力について論じております。

・本記事において、特に、強調されていたのは、

法務部員に必要なのは、まずはビジネスを徹底的に理解することである。これからやろうとしている、もしくは進行中のビジネスを、とことん研究して、それに伴うリスクの分析をする。(前掲81頁)

という点です。

・また、

まず "何を身に着けるべきか" についていえば、私は、①基礎力(基礎法学の理解)、②実務力(企業法務および自社の事業に関する理解)、③提案力(ソリューションを考えそれを提案する力)、④決定力(意思決定する力)だと思います。(前掲84頁・中山発言)

といったものや、

ソリューションは "合理" によって生まれると思われがちですが、現場のリアルでは、"情理" のなかにこそソリューションが隠れていることが多いというのが私のコンサルとしての実感です。(前掲84頁・宮下発言)

といったものもありました。

 ● 一法務担当者として取り組めること

・上記でみたような本記事で指摘されている事項に関しては、いずれも、「なるほど」と思わされるものです。

・その中でも、特に、他ではあまり指摘されておらず、意識して取り組むことができるものとしては、「情理」という部分かと思います。

・日々の業務を遂行する上では、「変化」といったものをもたらすことが必要になってくることも多いかと思います。その過程で、現行の仕組みを作った方々の事情や想いといったものに配慮することなく、単なる合理性のみで物事を進めようとしていないかというのは、最近、よく考えることです。例えば、事業部門及び法務部門内の業務フローを変える際にも、小さなフローだとしても、そのバックにはいろいろな積み重ねがあり、一見不合理に見えたとしても、一度立ち止まってきちんと向き合えているかと自問することは多いです。「聴く」「対話する」といった当たり前のことが疎かになっていないか、その上での健全な方向への変化となっているかは、一法務担当者としても意識しなければならないと痛感したところです。

 

今月号も勉強になりました。