普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】事業部経験のない法務担当の私が事業部経験のある人を見て学ぶこと

 法務界隈を見ていると、事業部経験があることの意義といったことが語られることがあるように思います。そこで、事業部経験のない法務担当の私が事業部経験のある人を見て学んだことを言語化してみたいと思います。

 

1.事業を見る際の切り口

 まず、事業を見る際の切り口については、法務プロパーの人と違う切り口になりやすいなぁとは感じます。

 私も含めて法務プロパーの人の切り口を見ていると、事業に潜むリスクは何かという事業に対して裏側の切り口からアプローチしている傾向があるように感じます。一方で、事業部経験がある人の切り口を見ていると、事業で利益はどのように生まれるかという事業に対して表側からの切り口からアプローチしている傾向はあるように感じます。

 こういった事業を見る際の切り口の違いは、自分と事業部経験ある他人を相対化して、自分自身の見方を改めて考える参考になるなぁと思っているところです。

 これと関連して、最近は、「事業を理解する」という言葉の中身が人によって思考のレベルが違うのではないかという問題意識も持っています。裏側からのアプローチだけですと、どうしてもリスクを把握するために要素還元的な切り口での理解になりやすいように感じます。一方、表側からのアプローチもあると、俯瞰統合的な切り口での理解も加わりやすいようには感じます。

 自分自身としては、やはり、どうしても意識しないと、事業に対してリスクは何かという裏側からのアプローチに終始してしまう傾向があります。ただ、事業サイドの立場に立って考えてみると、裏側からのアプローチしかないと、すべてができあがったタイミングで、できあがったものにリスクはありませんか?という聞き方をするのもそれなりに合理的だと思いますし、自分もそうするだろうと思います。早い段階で法務に相談を!という課題意識はよく言われるところですが、単なるコミュニケーションの問題に終始していることが多く、こういった事業に対するアプローチを裏側だけでなく、表側からもアプローチすることが早めの介入に繋がるのではないか、という仮説を検証していきたいと考えているところです。

 こういった切り口で、法務の機能論としてよくあるパートナー・ガーディアンというのも自分なりの腹落ちをさせていきたいと最近は思います。

 

2.事業部との距離感

 一方で、事業部経験者に対して事業部との距離感が近すぎて一体化しているのではないかと感じることはあります。

 事業に対する思い入れのような感情的なものなのか、はたまた自分の方が事業をうまくできるという自負心なのかはわかりませんが、コーポレート部門であるという組織論としての職責を超えた形での距離感を形成してしまいがちというのは気になることがあります。

 おそらく、1.で見たような事業を見る際の切り口の問題と距離感の問題を分けて考えることで、こういった部分は適正化していくのだと感じるところです。

 組織のコーポレート部門としてどのような職責を担うべきかという観点は常に意識しなければならないと思わされます。

 

 自分自身、事業部経験のある人を見ながら、事業に対して表側からも裏側からもアプローチしつつも、距離感は適正なものを保つという観点について気づかされることが多く、やはり、多様なバックグラウンドの人と接しながら仕事をしていくことの重要性を再認識させられる毎日です。

 

以上