普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】一法務担当者の「仕事の切り口」の変化を振り返る

 Twitterにおいて定例となっている某法務系スペースを聴きました。今回のテーマは「こんな上司は嫌だ、こんな部下は嫌だ」というものでした。

 さすがに具体的事例を書くことはできないので、当該スペースを聴いた上で、「部下である自分」の「仕事の切り口」がどのように変化していったかを振り返ってみたい*1

 

1.法律のことにしか興味がなかった期

 まず、当初は「法律」まわりの知識・ノウハウをいかに仕入れるか、という点にしか興味がなかったように思います。

 私のバックグラウンドとしていわゆる有資格であったことも影響してか、どの法分野の専門的な知識・ノウハウを身に着けるかという観点でしか仕事を見ていなかったように思います。正確に言うと、自分自身が関わる仕事というものを評価するものさしとして、法分野という切り口しか知らなかったというのがあるかもしれません。

 そうすると、仕事についても必然的に理屈っぽい抽象的な部分にしか興味がわきませんし、自分が思う法的な専門性が身につくか否かという観点で仕事へのやる気が変化していたように思います。それにならって、他人を評価するものさしというのも、そのような法的な専門知識・ノウハウの有無という観点しか持っていなかったように思います。

 これが1、2年目の半ばくらいというイメージです。

 

2.地に足つかないところに意識がいった期

 次は、法務とはどうあるべきかといった抽象的な話題に興味が向かいました。

 法務とはどうあるべきかといった話は定期的に話題に上りますし、物事を考える上では大事な話題かと思います。しかし、如何せん、法務経験2、3年の経験しかない状態ですとこういった話題は自分の手にはとてもじゃないが負えないものですし、仮に学んだとしてもそれが真に意味するとこは理解することはできないでしょうし、周りにも単なる頭でっかちと思われていただろうと今になっては思うところです。おそらく、法的な専門性・ノウハウが自分に身についていないのでは?といった焦りから、より抽象的な話題に飛びつこうとしていたようには思います。

 こんな調子なので、実際の仕事においても「べき論」を述べることが非常に多かった記憶です。べき論自体は重要だと思いますが、実際に実現する実力がないので、中々迷走していたような記憶はあります。

 これが、3年目くらいのイメージですね。

 

3.地に足つき始めた期

 こんな感じで地に足つかない思考をしていたわけですが、この辺りでいろいろなところに出向いていって、いろいろな人との繋がりを作る時期がやってきたように思います。

 やはり、他社の企業法務関連の人と話をするというのは効果が大きいようで、いろいろな考え方を知ることができたように思います。おそらく、具体的な人との繋がりがなかった時期ですと、自分自身の狭い視野で考えたモノと煽る形で構成された大きな意見にしか触れてこなかったため、企業法務に対する考え方が非常に極端かつ尖ったものになっていた記憶はあります。

 この辺りから、無目的に、また、自分自身で扱いきれない知識を仕入れるよりは、仕事上、自分自身の考えや経験を言語化することを意識することになったように思います。抽象的な形で言語化するツールとして、ブログやTwitterといったものを利用するようにもなりましたし、その結果かどうかわかりませんが、実際の仕事においても、自分の考えを口頭や文章で説明することが苦にならなくなってきた感覚はあります。

 これが「地に足をついた」と表現できるかどうかはわからないのですが、言語化がうまくなるにつれて安定感を感じるようになったのは確かなところです。

 

4.現状

 こういった言語化というのを意識しながら仕事をしてきたわけですが、最近では、その考えをもう少し発展させていこうと考えているところではあります。

 こちらも良い年齢になってきたので若手を指導する機会もあるのですが、これまでだったら指導というと単に法的な考えを教えるだけというイメージを持っていたのですが、指導については若手がうまく言語化できるような手助けをするというイメージを持つこともできるようになってきたように思います。

 また、仕事上の施策を考える際にも、よくある法的な切り口からモノゴトを考えるだけではなく、当該ビジネスに沿った切り口で法的な知識・ノウハウを自分なりに再構成する形で言語化しようといった努力も頑張ろうと思えるようになってきたと思います。

 一歩一歩という感じではあります。

 

 現時点での「部下である自分」の「仕事の切り口」の変化を書いてみましたが、また、いずれ振り返ってみたいと思います。

 

以上

*1:前回「【法務】一法務担当者の「事業部への質問」方法の変化を振り返る」なる記事を書いたのだが、これが各論だとすれば、今回はその総論部分にあたるように思う。

chikuwa-houmu.hatenablog.com