普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】一法務担当者なりに「法務の仕事を何とかして説明する方法」に関して考えてみた

● 企業でHOME??

 さて、日常生活を送っていると、「自分の仕事」を説明しなければならない場面というものに多々遭遇することかと思います。要するに、「法務て何の仕事なんですかー??」といった質問です。

 しかし、個人的な感想ですが、これが意外と答えることが難しい。契約書作る人?、揉め事起きたときに対応する人?、社内の規定を作る人?、はたまた役所に働きかけたり大きなルール作りをする人?など、様々な視点があると思われます。

 特に、以下のようなやりとりを見ると、説明の難しさがよりわかるかと思います。

 このやりとりでわかるかと思いますが、「法務」という名前は聞いたことあるけど何やってるかわからないという話ではなく、「法務」という文字すら認識されておらず、「HOME」と捉えられることもある、つまり、そもそも論として認識がない人に説明せねばならないという状況が多々存在するということです。

 

 これは説明する方法を考えねばならないということで、以下、先日ボソッと同旨の内容をつぶやいた際に直接又は間接に頂いたご意見を私なりの基軸で整理させていただきました。

 

● いろいろな説明方法試論

1.真正面から説明する論

 上記のようなご意見は、まさに、自身の仕事を真正面から説明する方法であり、最も正統派の説明方法であるように思います。

 「法務の仕事」にその軸が置かれており、自分の普段の仕事をそのまま言語化していくという方法で、一番取り組みやすい方法かと思われます。

 ただし、あまりに普段の仕事を正確に捉えすぎた結果、愚痴っぽく又は自虐っぽくなり、切ない回答になってしまわないように注意する必要があるかと思います。

 

2.比喩を用いる論

 このご意見は、1.で見たように「法務の仕事」に軸を置いて自分の仕事を正面から説明する方法ではありますが、そこに「会社のお巡りさん」という比喩をかませることで、少しわかりやすさを重視した説明になっているかと思います。

 もしかしたら、最近いろいろなところで聴く、パートナーやガーディアンという言葉も似たような発想なのかもしれません。

 この方法の注意点は、高度な比喩を用いすぎると何を言っているのかよくわからなくなる可能性があるというところでしょうか。

 

3.事業を持ち出す論

 このご意見は、説明する際の軸を「関わった事業」に移すことで、関わっている事業の一部として自分の仕事を説明する方法かと思います。

 1.や2.の場合とは少し異なった視点での説明方法となっており、関わった事業が第三者にもなじみ深いものであれば、よりよく説明することができるかもしれません。

 注意点としては、あまりに話を盛りすぎると、●●はワシが育てたのように、実態以上の話をしているのではないかとみられる可能性でしょうか。

 

4.相手の身近なところに落とし込む論

 このご意見は、説明する際の軸が「相手の身近なところ」に移っているように思われ、相手の身近な具体的な場面を想定しやすいものになっています。

 おそらく、この説明をすれば、それって何の意味があるのー?などといった会話が生まれやすくなる気がします。そういう場面では、最も効果が発揮されそうな説明です。

 注意点としては、自分の仕事と離れすぎた場面を設定してしまうと、自分の具体的な仕事と齟齬が生じてしまう可能性があるかもしれません。

 

● おわりに

 以上のように、「法務って何の仕事ですかー?」に対しては様々な視点からの説明方法があるわけですが、個人的には、受け手の認識を踏まえてケースバイケースで伝え方を変えれば良いと感じました。

 こういった説明をしなければならないケースとしては、仕事上の付き合い、私生活での付き合い、子供に説明する場合等、様々な場面が想定されます。

 法務のことをよく知っている人であれば1.のように真正面から説明すれば良いですし、事業を知っている人であれば3.のように説明するのも良いかもしれません。はたまた、全く法務になじみがない人であれば2.のように比喩を用いたり、4.のように相手の身近なところに近づけて説明するのが良いかもしれません。

 いずれにせよ、「伝える」ということの難しさを知る良い機会となりました。

 

以上