【法務】一法務担当者なりにここ数年の経験を振り返ってみた(中編)
こういった時期なので、いろいろと振り返っておこうと考えた記事の続きです。
前編はコチラ。
● 法的リスクに向き合ってみた
愚直に事業に向き合うことにして、朧気ながらも、目の前の事業におけるバリューチェーンなり、サプライチェーンに沿った「流れ」と「リスク」が見えるようになってきました。
そうすると、事業に関していろいろと知ることが楽しくなってくるわけですが、ここで「自分の役割」は何かと冷静に考えてみると、やはり「法的」観点からの付加価値提供が比較優位性を持つのではないか、営業、開発、調達、生産管理等々の他のスキルがない以上自身の比較優位な部分で付加価値を提供することが大事なのではないかと改めて思うに至るようになりました。
よく聞く企業法務界隈の言説で、「●●といったリスクがありますよ、あとは事業部判断で」といった形での「リスクを指摘するだけではダメ」という言説があるように思います。当初、深く考えていなかった頃も、「そら、そうだ!」とは思っておりまして、「こういうリスクがあります」「なので、こうしましょう」とは言っていたのですが、今思うとアウトプットは結構ずれていたなぁと・・・。
なぜズレていたのかについても考えてみましたが、おそらく、従前は、文字上のリスクや自分の中の知識との整合性から浮かび上がってくるリスクらしきものを見ていたように思います*1。もちろん、ラッキーパンチで核心をつけることもあるのでしょうが、ズレてることも多かったように思います。事業とアウトプットがリンクしてなかったんですよね。
そこで、改めて、「法的」観点からの付加価値、具体的には「法的リスクマネジメント」というものを考えてみることにしました。
ですが、待てど暮らせど、わからない笑
なので、単純ですが、「法的」と「リスクマネジメント」に分けて考えてみようとなぜか思い至り、「法的」の部分は法律の勉強にて知識を習得してきた(はず)なので一旦は置いておいて*2、「リスクマネジメント」に関して考えてみようとなりました。ですが、これが全く分からない笑*3そりゃ、勉強してないので当然なわけですが、とりあえずは、にわか知識でも良いのでリスクマネジメントに関する書籍を数冊程度購入し読んでみることにしました。ここでようやく、リスクの捉え方としては「損害の重大性×蓋然性」という捉え方がある、マネージする方法としては「回避、転嫁、軽減、許容」という方法があるということがわかりました。
単純な性分ですので、事業に向き合うことで見えてきた具体的な「リスク」に関し、「法的リスクマネジメント」の考え方を愚直に当てはめてみることにしました。
そうすると、「リスク」の中でも、自分が主体的になってコントロールできる「法的リスク」はこれ、「法的リスク」の中でも高度なものについては自分がコントロールできなさそうなのでより専門性や経験値がある人に聞く、「他部門が専門性を持つリスク」については他部門にコントロール方法を任せるように交通整理をするといったアウトプットが、少しずつですがわかるようになってきたように思います。そして、これらに関し、事業部門との間での「対話」を行うということの意義もわかってきたように思います。事業への関わり方も少しずつ変わってきたなぁと。
ここまできてようやく、企業内法務の仕事は単に法的な知識が要求されるだけではなく、アウトプットの際にアイデアが必要とされるクリエイティブさが必要なのではないか・・・と思えるようになりました。結果、インプット⇒アイデア⇒アウトプットのスパイラルの重要性に気づくようになりました。
後編に続く。