普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】ビジネス法務2020年1月号 感想

ビジネス法務2020年1月号を読みましたので備忘録です。

ビジネス法務 2020年 01 月号 [雑誌]

ビジネス法務 2020年 01 月号 [雑誌]

  • 作者: 
  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: 雑誌
 

1.北海道における「企業法務」定着・浸透の取組み(久保智人・前掲4頁)

・最近、企業法務界隈においては、経産省の公表するいわゆる「令和報告書」の議論を筆頭に、様々な議論がなされているように思います。

・ただ、そういった議論を見ていても、いわゆる「地方」における企業法務の実態というものは、それほどピックアップされていないように思います。

・そんな中で、本記事は、北海道という地域にて企業法務の定着・浸透のために奮闘する著者の取組みが、簡潔ではあるものの記載されています。

・まず、本記事によると、

道内には前述の60社の企業(そのうち、インハウス弁護士がいる企業は4社) の他に、10名以上の弁護士がいる事務所が4つあり、これらの企業・事務所以外にも、法務人材を必要とする企業は数多くあるが、どの企業・事務所も人材獲得に苦労している現状もある。(前掲4頁)

というのが、北海道における企業法務の実情のようです。

 このような状況に対し、著者は、企業法務実務家交流会・勉強会の開催リーガルインターンシップの開催等を企画・運営している旨が記載されております。特に、リーガルインターンシップについては、統一のカリキュラムとテキスト、資格認定制度までも整備する等、非常に工夫していることが読み取れます。

・ 企業法務が活性化していくためには、

 ①企業法務担当者側の問題:マーケットにどの程度の人がいるのか

 ②企業側の問題:法務にリソースを配分する優先順位はどうか

 ③企業側と担当者側を繋ぐ問題:両者を繋ぐための仕組みはあるのか

といった様々な切り口からの課題があるように思います。これらのうち、どこに中心的な課題があるのかは、地域性が大きく影響してくるようにも思いますし、業界、ビジネスのフェーズや規模という切り口でもいろいろと変わってくるのでしょう。

・このような課題を前提としつつ、北海道において企業法務の活性化の取り組みを行っている著者の試みには非常に刺激を受けました。環境は違えど、少しでも自分の行動に取り込めるようにしたいと思います!ちなみに、他の地域でも、類似の試みは行われていたりするのでしょうか?(知見不足ですみません・・・)

 

2.五輪を契機に、今はじめる!テレワーク導入の手引き(前掲56頁)

・本号の特集の1つがテレワークの導入というものでした。

・記事としては5つの記事が掲載されており、それぞれ、一般的なQ&A、勤務規定、ITと情報セキュリティ、企業での実例、弁護士事務所での実例というものが掲載されておりました。

・詳細については本特集を読んでいただくとして、大きくまとめると、

 ①労務管理(勤務規定含む)の問題

 ②情報セキュリティの問題

 ③コミュニケーションの問題

の3つがあるように思いました。

 ①と②に関しては、一法務担当者の自分にとっては権限の範疇外でありますが、③に関しては、導入したらどのように仕事を進めていけば良いかは考えておかねばならないと感じました。

 仕事におけるコミュニケーション方法としては、大別すると、

 ①メールやチャット等のテキストベースのコミュニケーション

 ②電話やTV会議システムを利用した音声ベースのコミュニケーション

 ③Face to Faceによる対面でのコミュニケーション

があるように思います。テキストベースのコミュニケーションをベースとしつつも、ニュアンスを伝えたい場合には、音声ベースのコミュニケーションを付加する必要もありますし、また、より細かいニュアンスを伝えた上での説得やビジョンの共有が必要になる場合には対面でのコミュニケーションが必要となる場合もあるでしょう。さらには、後々誤解を生まないために、逆に、発言が一般論として独り歩きしないように等、考慮すべき事項は多々に渡るかと思います。

 そんな中で、テレワークが導入されることで、これらの本質は変わらないとしても、今までとは優先順位が変わってくるかもしれませんし、よりコミュニケーションの本質を意識する必要が出てくるかもしれません。

・最終的には、どこまで「人」に配慮できるかだとは思いますが、仕事の進め方が変化してくるのは楽しみですね!

 

以上、本号も多くの気づきを得ました。