普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務・アニメ】法務に役立つかもしれなくもないアニメ10選

こんにちは!

ちくわと申します!

昨日の@ahowotaさんより引き継ぎまして、本記事は、2019年の#裏legalAC(https://adventar.org/calendars/4025)の一つとして書きました。

本ブログはコツコツと法務ネタを書き連ねているのですが、アニメネタがこれまで一つもないと気付いてしまいました。そこで、ねじ込むチャンスを逃してはいけないと思い至り、このような内容を書くことにしました。「裏」ですしね。

では、早速、私の独断と偏見に満ちた「法務に役立つかもしれなくもないアニメ10選」をお届けします。

 

● 法務に役立つかもしれなくもないアニメ10選

① ドカベン(1976年‐1979年)

ドカベン DVD-BOX (初回生産限定)

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・野球アニメの金字塔。

・そう、ドカベンです。

・本アニメの有名なシーンといえば、いわゆる「ルールブックの盲点」と呼ばれるシーンでしょう*1。これは、公認野球規則の細部*2まで熟知していた主人公山田太郎が、相手校のアピールプレーのミスを突いて、当該試合の決勝点をとったシーンになります。実は、これ、このシーンを知っていた高校球児によって現実の甲子園でも起きた事例なんです*3。すごいですね!

・日々、様々な位相のルールを取り扱う法務としても、目の前の職務に関し、法令、ガイドライン、社内規則等の細かい規定まで熟知していれば何かの突破口になることもあるかもしれません。皆さんはどこまで熟知してますか?本作は、そういったルールを熟知することの大切さを教えてくれるかもしれません。

 

② 超電磁マシーン ボルテスV(1977年‐1978年)

超電磁マシーン ボルテスV BOX (初回限定生産) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東映
  • 発売日: 2006/12/08
  • メディア: DVD
 

・一度聴いたら忘れない主題歌*4

・本アニメは、ボアザン星人の侵略から地球を守るために、ボルテスVに搭乗し戦う5人の少年少女の物語であり、まるで大河ドラマのような物語が展開されます。

・本アニメ、絵柄から見てもわかる通り、いわゆる昭和のロボットアニメに分類されるのですが、実はとっっってもグローバルなアニメとなっています。何と、フィリピンでの最高視聴率が58パーセントを記録したのですよ*5

国際法務の世界にいると、日々、海外案件に接し、時には海外の方々と一緒に仕事をすることもあります。その中で、私のようなドメスティック法務担当者にとっての大きなハードルの一つが、そう、いわゆる「世間話問題」です。本作品のようなグローバルなアニメを知っていれば、会話の突破口として役立つこともあるかもしれません。

 

③ 聖戦士ダンバイン(1983年‐1984年)

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・最古の異世界転生アニメ。

・本アニメは最古の異世界転生アニメとも評される通り、主人公のショウ・ザマが、異世界バイストン・ウェルへと召喚され、そこでの戦争に巻き込まれていく物語です。

・主人公のショウは、当初は、自身の世界へ帰ることを優先し、バイストン・ウェルの人々とうまくやっていけなかったわけですが、そこは心優しきショウ、バイストン・ウェルのために戦う決意をしていくわけです。

・我々法務にとっての異世界転生といえば、異動や転職により「未知の世界」に飛び込んでいく場面でしょう。本作を見れば、新たな環境でサバイブする方法がわかるかもしれません。

 

④ 銀河英雄伝説(1988年‐2000年)

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・戦史ものといえばこのアニメしかない。

・本アニメは、ヤンウェンリー属する自由惑星同盟、ラインハルト属する銀河帝国を基軸に、両陣営に属する数々の英雄達の生きざまを描いた銀河叙事詩となっています。

・本アニメの特徴といえば、魑魅魍魎の軍人や政治家たちが織りなす、いわゆる「組織の政治」でしょう。どのようにリソースを調達するか、現在のリソースで何をなすか、そして、時には味方陣営内部での政治的抗争といった「組織」が直面する課題に溢れた作品です*6

・法務部門においては、現状のリソースで何とかやりくりせねばならぬ場面や、社内外の関係者との間で「いろいろと」話をしなければいけない場面が出てくると思います。そんなとき、本作品で触れられる数多の場面を通して身に着けた問題解決力が役立つかもしれません。

 

⑤ ロミオの青い空(1995年)

ロミオの青い空 DVDメモリアルボックス

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世界名作劇場の誇る感動作。

・本アニメは、主人公のロミオが病に倒れた父を救うために自身の身を売り、ミラノの煙突掃除夫として生計を立て、その中で出会った友人たちとの絆を結ぶことや自身の成長を果たしていく物語です。

・作中、主人公のロミオと同居するキャラとして、アンゼルモという男児が登場するのですが、これがまた身勝手かつ陰険なキャラとして描かれ、ロミオを陥れるために、親、悪友、警察官等に、自分に都合の良い報告をするわけです。いくらなんでも周囲の人々も簡単に騙されすぎではと思いますが・・・。

・法務部門も、日々、目の前の案件をこなす際に、事業部門、メディア等の社内外の様々な関係者から様々な情報を取得することになろうかと思います。そんなとき、皆さんは、しっかりとした裏取り作業をサボらず積み重ねているでしょうか。本作品では、そのような地道に根拠資料を集めることの大切さを再認識できるかもしれません。

 

⑥ 十二国記(2002年‐2003年)

十二国記 Blu-ray BOX

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・ファンタジーものの最高峰*7

・本アニメ、世界観としては中国「風」の世界をベースとし、 麒麟と呼ばれる存在により選ばれた王が統治する国家において、王、官吏、市井の民衆等の様々な心理描写を交えつつ、彼らが自らの運命に対峙する様子が描かれていく*8

・本アニメでの焦点と言えば、主人公中嶋陽子とネズミの半獣楽俊との邂逅でしょう。周囲への不信感をぬぐえなかった頃の主人公陽子が、楽俊との出会いを通して、自分と他人との関係性について理解を深め、己を成長させていきます。 

・我々法務にとっての身近な他人と言えば、事業部門になろうかと思います。事業部門との距離感はどうするか、一挙手一投足にどう対応するか。そんなとき、本作での「おいらには三歩だ」の精神がどこかで役に立つことがあるかもしれません。

 

⑦ プラネテス(2003年‐2004年) 

EMOTION the Best プラネテス DVD-BOX

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・大人に推薦したいアニメNo.1!*9

・本アニメは、スペースデブリ回収事業を営む企業で働くサラリーマンの「ハチマキ」を中心として、宇宙事業を営む「企業」や「人」にスポットを当てた内容です。強い部門と弱い部門の関係性等も描かれており、中々リアル。

・物語中、主人公のハチマキは、自身の夢と現実の狭間でどのように生きていけばよいのか、自身の負の感情とも向き合いつつ、時にそのような負の感情に飲み込まれながらも、「焦り」という大きなテーマの中で自らの生き方を決めていきます。

・法務の仕事をする中では、自分の置かれた状況、周囲の同年代等を見ながら、様々な「焦り」の感情が生まれてくるかもしれません。私個人の感想として、法務界隈は、いろいろな要素が絡み合って、人に「焦り」の感情を生じさせる諸条件がそろっていると感じます。本アニメは、そんなときでも「焦るなよ、ゆっくりでいい。ゆっくりだ。」*10と、自分は自分、他人は他人と考えることの大切さを教えてくれるかもしれません。

 

⑧ イブの時間(2008年)

イヴの時間 オリジナル版 スペシャルプライス版 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: DIRECTIONS/RIGHTS
  • 発売日: 2014/02/22
  • メディア: Blu-ray
 

・ロボットと倫理性を描いた名作*11

・本アニメは、アイザック・アシモフが提唱するロボット三原則をベースに、日常生活の中での人間とロボットの関係性を描いていく物語です。

・本作品内では、ロボットが人間の仕事を奪い、ロボットに精神依存する人々、それを危険視する倫理委員会等が登場し、ロボットとは?人間とは?人間とロボットは区別できるのか?と様々な問いかけが登場してきます。

・法務の世界でも、リーガルテックに代表される様々なテクノロジーが導入されてきております。テクノロジーと法務関係者はどのような関係性を築くのがよいのでしょうか。そのような「ホットなテーマ」を考え、そして自分なりの答えを見つけるのに役立つかもしれません。

 

⑨ PSYCHO-PASS サイコパス(第1期:2012年‐2013年、第2期:2014年、第3期:2019年(放映中)) 

PSYCHO-PASS サイコパス VOL.1【DVD】

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2012/12/21
  • メディア: DVD
 

・完成度の高い社会派SFアニメ*12

・本アニメは、人間のあらゆる心理傾向や性格傾向を数値化して計測可能とする「シビュラシステム」によって管理された社会を描いた物語です。

・AIテクノロジーにも似たある種の「絶対的な基準」が埋め込まれた社会において、人はどのようなことを考え、どのような生き方をするのでしょうか。本アニメでは、フィクションの世界で、そんな社会実験を試みているように思います。

・今後テクノロジーの発展に伴い、本アニメの取り扱うような領域、すなわち法の予定しない「グレーゾーン」*13の領域が多数生まれてくると思われます。法務部門としては、そういった「グレーゾーン」にどのように向き合えば良いのでしょうか。そんなことを考える際、何か役立つかもしれません。

 

⑩ SHIROBAKO(2014年‐2015年)

・お仕事アニメといえばこの作品*14

・本アニメは、上山高校アニメーション同好会出身の5人が、アニメ業界の様々な職種に就き、周囲の助けを借りながらも、「仕事をするって何なんだ」という部分に向き合いながら成長していくストーリーです*15

・主人公の宮森あおいは、アニメーション制作会社の「制作進行」として、原画マン、脚本家といった社内外の様々なアニメーション関係者をマネジメントし、自身の担当アニメ回をより良いものにしていこうと奮闘します。

・法務部門としても、何らかのプロジェクトを立ち上げる際には、事業部門や他の管理部門、時には社外の専門家を巻き込んだ上でのプロジェクトマネジメントが必要とされる場面に遭遇することもあるかと思います。そんなときに、本アニメは一つの手引きになってくれるかもしれません。

 

● 何が言いたいかというと

・結局何が言いたいかというと、アニメは素晴らしいぞ!というのもありますが、それ以上に、視野を広く持っていれば何か見えてくるものもあるのではないかということを言いたかったわけです。

・私のような経験値の少ない一法務担当者の視点からすると、周囲のキラキラしている話等を聴くとどうしても「焦り」の気持ちが湧いてきます。そうすると、自分の場合、どうしても視野が狭くなってしまい、道が一つしかないような錯覚に陥ってしまうことが多いです。

・そんなとき、@seko_lawさんのようなキャリアの話(https://www.seko-law.com/entry/legalac2019)を伺うと、いろんな道があるのだなぁ!と思えますし、自分の場合は、趣味のアニメ鑑賞でもしているとふっと閃く瞬間(仕事のことだけじゃなく私生活のことも!?)があるわけです。

・他人のいろいろな道を眺めてみたり、はたまた自分の中のいろいろなモノを眺めてみたりすると、ひょんなところにヒントは隠れているかもしれませんね!

 

と、中盤の箸休めとなるような記事を書かせていただきました。それでは、お次は、渡辺知晴/tomoharu watanabeさんです!よろしくお願いします!

 

追伸

是非、皆さんのオススメアニメを教えてくださいね!

*1:第147話。山田太郎2年生時の夏の甲子園予選。白新高校戦。

*2:公認野球規則5.08(a)、公認野球規則5.09(b)(5)、公認野球規則5.09(c)(1) http://asaka-aba.net/kisoku.html

*3:2012年夏の甲子園済々黌高校 対 鳴門高校 https://www.excite.co.jp/news/article/E1344968314584/

*4:筆者は、毎年開催される某ライブにて、堀江美都子氏の歌声とともに本主題歌を聴いている。

*5:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E9%9B%BB%E7%A3%81%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%B3_%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%B9V#%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%94%E3%83%B3%E3%81%A7%E3%81%AE%E8%A9%95%E5%88%A4

*6:「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する」といった「行き当たりばったり」になっていないかは注意したいところです。

*7:小説版とは少し魅せ方が違うと感じる。

*8:浅野君の位置づけは何だったのか。

*9:筆者の修習時の民弁教官が、登場人物であるドルフ・アザリアにとっても似ていた。

*10:主人公ハチマキの恩師ことギガルト・ガンガラガッシュのお言葉。

*11:15分のショートストーリー×6回なので視聴しやすい。総集編としての劇場版もある。

*12:「法が人を守るんじゃない、人が法を守るんです」とのセリフは考えさせられます。

*13:違法という意味ではなく、法に基づく「ルール」が不存在ということを意味する。

*14:同じくお仕事シリーズの「花咲くいろは」「サクラクエスト」もおススメ。いずれもP.A.Work制作。

*15:社会人5年目くらいまでの人が見ると、感ずるところが多いかと思います。