普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】ビジネス法務 2021年8月号 感想

 ビジネス法務2021年8月号を読みました。

 本号の特集は「「利用規約」審査・運用の実務ポイント」というものでした。

 「利用規約」の審査というと、これまで、B to Cビジネスを行う企業の法務部門で取り扱われることが多かったように思います。そのため、「利用規約」の解説というと、約款に関する法規制、消費者法領域における法規制、プライバシーポリシーといったものを中心に説明がなされてきたと思います。

 しかし、昨今のビジネス環境の変化に伴い、このようなB to Cビジネス以外でも「利用規約」に関する審査知識を持っておく必要があると思います。例えば、本特集でも触れられておりますが、クラウドサービスに関する利用規約などは、まさに様々な業種の法務担当者が接する可能性のある類型かと思います。

 最近のビジネス環境を見ていると、DXという言葉が言われておりますが、これは、新興企業だけではなく、いわゆる伝統的な製造業においても、むしろ伝統的な製造業においてこそ取り組みが進んでいる分野かと思います。こういった取り組みにおいては、従来のシステム開発案件だけではなく、クラウドサービスを利用した業務改善といったものも自然と多くなってくると思います。そうすると、必然的に、法務部門においても契約審査という枠組みだけでも、今まで触れてこなかった契約類型に接することが出てくるように思います。その一つが、いわゆる「利用規約」というものになってくる可能性があります。

 これまで、法務部門の業務遂行ノウハウの継承というのはどのように行われてきたでしょうか。何らかのマニュアルが整備され、業務スキルの習得が行われてきたでしょうか。秘伝のたれのごとく、見よう見まねで先輩から教わってきたものでしょうか。はたまた、上長によるチェックでOJTが行われてきたでしょうか。

 しかし、こういったIT化の流れのように、急激なビジネス環境の変化が起きると、法務側としても、これまで審査したことのない契約類型に取り組むことが増え、これまでとは違う方法でノウハウを習得する必要も出てくると思います。そのような状況に対し、法務部門の教育体制等はどのように行っていけば良いのか等、考えることは多いように思います。

 本号の特集である「利用規約」の審査・運用というものを見て、習得すべきノウハウの幅が広がってきていると感じた次第です。