普通の法務の現場録

企業法務人の管理人が、「普通の法務の現場目線」という切り口で、現場の暗黙知を言語化しようと試みているブログです。

【法務】BUSINESS LAW JOURNAL 2020年5月号 感想

 BUSINESS LAW JOURNAL2020年5月号を読みました*1

Business Law Journal 2020年 05 月号 [雑誌]

Business Law Journal 2020年 05 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/03/24
  • メディア: 雑誌
 

 

● デスクを離れよ、現場に出よう(安藤和弘、7頁)

 法務部門の置ける主たる業務と言えば、契約審査だと思います。在宅勤務が行われている現状においても、支障が生じにくい職務だとは思います。

 ですが、そのような職務に対して、寺山修司の「書を捨てよ、町に出よう」ばりのタイトルで、現場に出ることを推奨するのが本記事でありました。

実は、法務部→他部署→法務部という配属が最も優れた法務の実務家を育てると思っている。なぜなら法務部での新人時代に感じたさまざまな疑問点の実務経験することで解消あるいは理解し、それを実務に反映させることができるからである。(前掲7頁)

 このように、本記事の著者は、そのキャリアプランにおいても、現場を経験することを強く推奨しています。

 実際に現場を知ることは大事だと思いますが*2、その方法としては、著者が述べるように事業部門を経験することも一つの方法ですし、機を見て現場へ出向くということもありうるかと思います。ただ、こういった方法はいろいろと制約がありうるかもうしれませんので、できる範囲で何かをやるとすれば、聴く、想像するの2つが大事になってくると思います。これらであれば、すぐにでもできますからね。

 こういった少しの心がけを積み重ねることが大事なように思います。

 

 

● アジア法務の思考回路 第1回 契約リスク発見のコツ(久保光太郎、前掲94頁)

 アジア法務に関する連載が始まりました。

 本連載の著者はアジア法務を専門に扱う久保光太郎弁護士になっています。

 本記事でも指摘があるところですが、海外法務を扱うにあたっては、当該国の事情をどのように把握するかというのは非常に大事になってくるように思います。

 この点について、前記事の話と絡んできますが、現場へ行くというのが最も有益だというのは疑いのないことだと思います。しかし、種々の制約から容易にそれはできないこともあるかと思います。そんな時でも、できることと言えば、やはり「聴く」ということではないでしょうか。

 そのことについては、本記事でも、

経験がない場合にとることのできる方法の一つは、知っている人に聞いてみるということだ。(前掲99頁)

と述べられているところです。

過去のトラブル事例については、弁護士や法務部よりも、むしろビジネス(営業)サイドの方が詳しいこともある。(同上)

とも述べられています。

 ここまでくると、知っているのは誰かをきっちり把握することが大事になってきますし、そういった人と信頼関係を築くことの重要さが身に沁みます。

 

 両記事を通して感じたことは、わからないことはわからない、それじゃあその時にどうするか、まずは知っている人に「聴く」、そして「想像する」ということの大切さでした。当たり前といえば当たり前ですが、コツコツと初心を忘れずに積み重ねていきたいところです。

 

以上 

 

*1:2020年6月号が手元にあるというのに・・・。

*2:そもそも「現場」というのもどこを示すのかは事業に応じて考える必要があるとは思います。