【法務】ビジネス法務 2021年1月号 感想
ビジネス法務2021年1月号を読みました。
本号の特集は、非ネット・非IT企業のための「デジタル・トランスフォーメーション」の法務でした。
現在のビジネス環境を見ていると、今までIT分野と強い関わりのなかった分野においても、「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉を全く聞かないということはないくらいには、企業活動において重要な要素の1つになってきていることかと思います。
そのような中で、法務として「デジタル・トランスフォーメーション」に関わる場合、法務「の」デジタル・トランスフォーメーションという言葉は、昨今、よく語られてきたことかと思います。例えば、リーガルテックというワードは法務界隈においてある種のバズワードのようなものとして用いられてきましたし、また、コロナ禍においては電子契約等が注目を浴びていることかと思います。
ですが、今回の特集は、そのような法務「の」デジタル・トランスフォーメーションではなく、(特に非ネット・非IT企業において)「事業の」デジタル・トランスフォーメーションにあたり法務がどのような役割を担っていくのかというものになっておりました。
このような傾向は不可避だと思いますし、どうしていくべきかを考えてみると、やはり、ノウハウが蓄積されていないというのが大きな課題になってくるかと思います。そして、ノウハウと言っても、①内部で処理する際のノウハウ、②外部に頼む際のノウハウの2つのノウハウが欠けてくるのではないかと思います。
この点については、本特集においても、
デジタル領域での精緻なリーガルリスク・アセスメントのための知識および経験の蓄積には、文献では足りないことも多く、一定程度のミスおよび学び(ならびにこれらを許容しサポートする職場環境)が不可欠になる。(「DX法務の心構え‐見逃される不安と心理的安全性の提言」(渡部友一郎、前掲16頁))
と指摘されているのは、まさに内部でどのように処理していくかの視点に繋がってくることかと思います。
また、
第1に、外部弁護士をスポットで変えてみることである。御社の顧問弁護士は、IT系の造詣は十分だろうか。ITを専門とする外部弁護士を2~3名ピックアップし、検討分野のオンラインピッチを依頼してみよう。(同上、前掲18頁)
という点は、外部のノウハウの新たな取得の必要性を述べていることかと思います。
いずれにせよ、未だ手探りな段階だとは思われますが、内部的なノウハウ及び外部的なノウハウのいずれについても、既存のスキルセットを入れ替える必要性も考慮しながら、業務を推進していく必要があるのかもしれません。
以上